
実務に活かせるエクセル研修とは|スキル別の研修内容と実施ポイントを解説
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社員のスキル向上を目的とした研修は、業務効率化やミスの削減につながります。その1つに「エクセル研修」があります。多くの業務で使われるエクセルは、業務の正確さやスピードに直結する重要なスキルです。
一方で、研修内容の選定や受講者の習熟度に応じた進め方が分からず悩む人事担当の方もいるでしょう。この記事では、スキル別の研修内容や実施時のポイントについて解説します。
企業におけるエクセル研修の目的と重要性
エクセル研修は、生産性の向上や業務の属人化解消に効果的です。基礎を習得すれば作業効率が高まり、関数やマクロを使えば定型業務の自動化も可能です。社員のスキルを均一化することで、業務の偏りを防ぎ、作業の正確性とスピードも安定します。業界・業種にかかわらず、企業全体の成果にもつながる重要な研修といえます。
初心者向け|エクセル研修の主な内容
エクセル研修と一口にいっても、学ぶ範囲が広く習熟度や業務内容によって適した内容は異なります。ここでは、これからエクセルを使い始める社員を対象にした、業務の基礎を支えるスキルを身につけるための主な研修内容について解説します。
基本操作を学ぶエクセル研修
エクセル初心者に向けた基本操作の研修では、エクセルの構成や入力方法、セルの扱い方など、最も基礎的な内容を扱います。文字や数値の入力、書式設定、コピー・貼り付けといった操作を通じて、まずはエクセルの扱いに慣れてもらうことが目的です。
日常業務で使える最低限の操作を習得することで、業務の第一歩を支える基盤を築けます。
セル操作による入力作業の習得
入力作業の正確さとスピードは、エクセル業務の基本です。この研修では、セルへの文字・数値の入力、オートフィルや貼り付けオプション、セル内での改行などを学びます。入力ミスを減らし、効率よく作業できるようになることが目的です。
実務で頻繁に使う操作を繰り返し練習することで、自然と手が動く状態を目指します。
書式設定を用いた見やすい表の作成
視認性の高い資料は、社内外での業務を円滑に進める上で欠かせません。この研修では、文字の装飾やセルの背景色、罫線(けいせん)、数値や日付の書式設定などを学びます。見た目が整うことで内容が伝わりやすくなり、資料の品質も向上します。
表の構造や配置にも触れながら、読みやすく整理された資料の作成を意識しましょう。
基本機能による作業効率の向上
日常業務の無駄を省くには、エクセルの基本機能を活用することが効果的です。この研修では、並べ替えやフィルター、簡単な関数などを使い、データの整理や集計を効率化する方法を習得します。操作に慣れていない社員でも実践しやすく、作業スピードと正確性の向上につながります。
中級者向け|実務に生かすエクセル研修
普段からある程度エクセルを使っており、基本操作には慣れているものの、さらに実務に役立てたいと考える社員も多くいます。こうした中級者に向けた研修では、実務に直結する操作や考え方を学ぶことが大切です。ここでは、中級者におすすめの研修テーマとそのポイントを解説します。
応用関数を用いた業務の自動化
この研修では「IF・SUMIF・VLOOKUP」などの応用関数を使い、業務の一部を自動化する方法を習得します。複雑な条件で集計や抽出を行うことで、日々の処理の負担軽減が可能です。正確性とスピードの両立を目指す中堅社員にとって、実務で活かしやすい内容です。
関数の活用幅が広がることで、業務全体の質も向上します。
グラフと書式設定による資料の視覚化
数値だけでは伝わりづらい情報を視覚的に整理するスキルを習得します。この研修では、グラフの作成から、装飾・編集までの流れを学び、見やすく説得力のある資料作成を目指します。プレゼン資料や報告書の作成に欠かせないスキルであり、数字の背景や傾向を明確に伝える資料作りに役立つでしょう。
ピボットテーブルを用いたデータの整理
大量のデータを効率よく集計・分析するためには、ピボットテーブルの活用が不可欠です。この研修では、基本的な作成方法や操作に加え、データの見せ方やレイアウト調整も学びます。分析業務の基盤として活用できるスキルであり、部門別の実績管理や傾向分析など、実務での応用がしやすい内容です。
上級者向け|業務効率を高めるエクセル研修
エクセルを日常的に活用しており、基本操作や関数にも十分に習熟している社員の場合、より高度な業務効率化を目的とした研修が適しています。具体的にはマクロやVBAを使った自動化のほか、業務全体の流れを意識した活用方法がおすすめです。各内容の詳細について解説します。
マクロによる定型業務の自動化
繰り返し発生する定型作業を効率化する方法として「マクロ」があります。マクロとは、操作手順を記録し、自動で再現できるエクセルの機能です。この研修では、マクロの記録や実行方法、簡単な編集手順を習得します。
ボタン1つで操作を自動化できるようになれば、手作業による入力ミスを防ぎ、作業時間を大幅に削減できます。日常業務の自動化を体感しながら、基本操作の活用方法を学びます。
VBAを用いた複雑処理の自動化
マクロより高度な自動化を実現する手段としてVBA(Visual Basic for Applications)があります。VBAはエクセル上で動作するプログラムを自作できる機能で、処理の自由度の高さが特徴です。この研修では、VBAの基本構文である変数や関数、条件分岐、繰り返し処理などを体系的に学びます。
さらに、シートやブックの操作、データの並べ替え・抽出など、実務に直結する操作を通じて、複雑な業務の効率化に繋げられます。
業務フロー全体を見据えたエクセル活用の実践
この研修では、実際の業務フローを題材に、要件の整理から設計、エクセルでの再現までを段階的に学びます。たとえば、受注管理や請求処理などの一連業務を想定し、必要なシート構成からデータ構造を設計し、関数・マクロ・VBAを組み合わせて処理を自動化する演習を行います。
全体像を組むのが難しい場合は「入力作業の標準化」や「集計・出力の効率化」など、部分ごとの改善から取り組み、業務全体をエクセルで仕組み化する力を身につけていきましょう。
エクセル研修を成功させるポイント
受講者のレベルに合わせた研修内容や進め方について解説してきましたが、理解を深めて現場で活かせるスキルとして定着させるには、研修全体の工夫も欠かせません。ここでは、エクセル研修を効果的に実施するためのポイントについて解説します。
実践形式で理解を深める
エクセルは操作しながら学ぶことで定着度が高まります。座学だけでは関数や機能の仕組みを理解できても、実務で使えるレベルにはなりません。講義とあわせて実際に作業する時間を設け、受講者が考え方や手順を体感できる構成を意識しましょう。特に初学者には、知識のインプットとアウトプットの繰り返しが効果的です。
業務に沿った課題を用意する
研修で扱う内容が実務とかけ離れていると、受講者の習得意欲は下がります。関数や機能の説明だけでなく、日常業務で直面するような課題を題材にすることで「自分の業務に置き換えるとどうなるか」を考えるきっかけになります。
請求書の集計や売上管理など、現場に近いテーマで研修を設計すると効果的です。
対象者に合わせて体制を整える
エクセルスキルには個人差があるため、一律のカリキュラムでは理解に差が出てきてしまいます。研修の構成を検討する際には、事前アンケートやスキルチェックで受講者のレベルを把握し、初心者と経験者グループでわけたり、補助講師を配置したりといった工夫が必要です。
受講者ごとの習熟度に応じた支援体制が、研修の成果を左右します。
エクセル研修を外部に依頼する際のポイント
研修を実施したいと思っても、社内に講師として適切な人材がいなかったりマニュアル作成や準備に十分な時間を割けなかったりするケースもあります。そのような場合は、外部サービスを活用して研修を実施するのも1つの方法です。
ここでは、エクセル研修を外注する際に意識すべきポイントについて解説します。
研修内容が自社の課題や目的に合っているか確認する
外部に研修を依頼する際は、提供されるカリキュラムが自社の業務課題や目的に合致しているかを事前に確認することが大切です。たとえば、集計作業の効率化を目指しているのに、資格取得向けの研修を選んでしまうと期待した効果は得られません。
自社で求められるエクセルスキルや活用シーンを明確にした上で、内容のカスタマイズが可能かを見極めましょう。研修の目的と内容が合えば、受講者の理解と定着も進みやすくなります。
講師に実務経験や指導実績があるか見極める
エクセル研修では、知識だけでなく現場経験を持つ講師のほうが実践的な指導ができます。業務に精通していれば、受講者のつまずきやすい内容に対して、業務に即した具体例を用いた説明が可能です。
また、理解度に応じた伝え方ができるか、業務の流れを踏まえてアドバイスできるかも重要なポイントです。
講師の選定時には、過去の研修実績や指導先の業種、現場経験の有無を事前に確認しましょう。可能であれば、事前の打ち合わせや模擬講義を通じて説明の質や対応力を見極めると安心です。
自社の予算や運用に合った料金体系かを検討する
外部研修の依頼にあたっては、講師料や材料費だけでなく、交通費・会場費なども含めた総費用を確認する必要があります。安い・高いだけでなく、自社が必要とする内容が含まれているかを重視しましょう。
オンライン研修であれば、移動費や会場費を削減できます。自社の要望に沿った研修を実現できる外注先を慎重に探してみましょう。
記事まとめ
エクセル研修は、社員のスキルレベルに応じた内容設計と運営の工夫によって実務に直結する成果を生み出せます。基本操作からVBAまで段階的に学び、実践的な課題に取り組むことで、業務効率やデータ活用力が着実に向上します。研修の目的や対象者に合わせた内容・体制づくりがポイントといえるでしょう。
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