
SUMIFS関数で業務効率化!複数条件の合計方法と実務で役立つ応用例
目次[非表示]
- 1.SUMIFS関数とは?
- 2.SUMIFS関数の使い方
- 3.すぐ使えるSUMIFS関数の実例集
- 4.SUMIF関数との違いと使い分け方
- 5.SUMIFS関数の使い方のコツ
- 5.1.範囲指定はF4キーで固定する
- 5.2.範囲は列単位で指定する
- 5.3.条件範囲と合計範囲のサイズをそろえる
- 6.現場で役立つSUMIFS関数の活用シーン4選
- 6.1.1.売上データを期間・商品別に集計して販売戦略にいかす
- 6.2.2.プロジェクトの進捗や工数を条件別に可視化する
- 6.3.3.顧客層や購買履歴を分析してターゲット施策を強化する
- 6.4.4.在庫状況を倉庫・カテゴリー別に把握して欠品を防ぐ
- 7.SUMIFS関数の応用テクニック
- 7.1.不等号を使った数値範囲の指定
- 7.2.ワイルドカードを使った部分一致検索
- 7.3.日付条件の指定
- 8.よくあるエラーと対処法
- 9.他の関数と組み合わせる場合の活用法
- 9.1.COUNTIFS関数
- 9.2.AVERAGEIFS関数
- 9.3.IF関数やVLOOKUP関数
- 10.記事まとめ
企業のデータ分析ではExcelでの集計が欠かせませんが、従来の手作業では時間がかかるだけでなく、ミスが発生しやすいのが課題です。そこで、SUMIFS関数を活用することで、複数の条件を組み合わせた複雑な集計作業を瞬時に完了できるようになります。
本記事では、SUMIFS関数の基本的な使い方から実務で役立つ応用テクニックまで、業務効率化に直結する内容を詳しく解説します。
SUMIFS関数とは?
SUMIFS関数は、Excelで「複数の条件に当てはまる数値だけを合計する」ための関数です。
たとえば、売上データを使ったこんな集計に便利です。
・東京支店で売れた商品の売上合計
・今月に取引した特定の取引先の売上合計
・特定の取引先かつ特定の商品カテゴリーの売上合計
SUMIFS関数を使えば、複雑な条件でも一瞬で合計を計算できるので、手作業で時間をかけて集計する必要がなくなります。
SUMIFS関数の使い方
SUMIFS関数を効果的に活用するためには、まず基本的な構文を理解することが大切です。適切な引数の指定方法を身につけることで、複雑な条件設定にも対応できるようになります。
基本的な使い方
SUMIFS関数は、複数の条件を満たすデータだけを合計できる関数です。構文は次のようになります。=SUMIFS(合計範囲,検索範囲1,検索条件1,検索範囲2,検索条件2・・・)
合計範囲:実際に合計したい数値が入っているセル範囲
検索範囲1:判定を行う対象となるセル範囲
検索条件1:条件範囲1のなかから合計対象を絞り込む基準
検索範囲2・検索条件2:追加で条件を設定したい場合に指定
つまり、「どの数値を合計するか(合計範囲)」を指定し、その対象を「どんな条件で絞り込むか(条件範囲と条件)」で決める仕組みになっています。
複数条件の指定方法
SUMIFS関数の最大の強みは、同時に複数の絞り込み条件を適用できることです。構文は前述のとおり、検索範囲と検索条件をセットで追加するだけです。
すぐ使えるSUMIFS関数の実例集
以下は、SUMIFS関数の使用例です。
・売上集計:「2023年1月1日以降かつ10万円以上の売上合計」
=SUMIFS(売上範囲, 日付範囲, ">=2023/01/01", 売上範囲, ">=100000")
・プロジェクト管理:「プロジェクトAで完了したタスクの工数合計」
=SUMIFS(工数範囲, プロジェクト範囲, "プロジェクトA", ステータス範囲, "完了")
・マーケティング:「30歳以上女性の購入金額合計」
=SUMIFS(購入金額範囲, 性別範囲, "女性", 年齢範囲, ">=30")
・在庫管理:「倉庫Aの消耗品在庫合計」
=SUMIFS(在庫数範囲, 倉庫範囲, "倉庫A", カテゴリー範囲, "消耗品")
SUMIF関数との違いと使い分け方
SUMIF関数は単一条件の集計に適しており、例えば「特定の地域の売上合計」を求めるときに使います。一方、SUMIFS関数は複数条件を組み合わせた集計に便利です。「地域+商品カテゴリー」など、より細かい分析に向いています。
また、引数の順序にも違いがあり、SUMIF関数は「条件範囲、条件、合計範囲」の順で指定しますが、SUMIFS関数は「合計範囲、条件範囲、条件…」と指定します。
条件が1つの場合でも、SUMIFS関数は引数の数が変わらず使いやすいため、汎用性が高いのが特徴です。将来的に条件が増える可能性がある場合や、関数を統一したい場合はSUMIFS関数を使うのがおすすめです。
SUMIFS関数の使い方のコツ
SUMIFS関数を効率的に活用するために、実務で重要となる3つのポイントを詳しく解説します。
範囲指定はF4キーで固定する
数式をコピーする際、参照範囲がずれることを防ぐため、F4キーで絶対参照を設定します。範囲入力後にF4キーを押すことで「A$1:A$100」のような絶対参照に変換され、数式コピー時も参照範囲が固定されます。
範囲は列単位で指定する
データが増減する可能性がある場合、「A2:A100」のような具体的な範囲指定よりも、「A:A」のような列全体指定が効果的です。新しいデータが追加されても数式修正が不要となり、メンテナンス性が向上します。
条件範囲と合計範囲のサイズをそろえる
全ての条件範囲と合計範囲のサイズを一致させる必要があります。列全体指定なら「A:A、B:B、C:C」のように統一し、具体的範囲なら「A2:A100、B2:B100、C2:C100」のように行数をそろえるようにしましょう。
現場で役立つSUMIFS関数の活用シーン4選
ここでは、実際のビジネス現場において、SUMIFS関数が威力を発揮する代表的なシーンを4つ紹介します。
1.売上データを期間・商品別に集計して販売戦略にいかす
SUMIFS関数を使えば、「特定期間×特定商品×特定地域」といった条件での売上集計が瞬時に行え、販売戦略の検討に集中できます。また、集計結果から売れ筋商品や需要の高い地域を把握できるため、在庫管理や販促計画の精度向上にもつながります。
2.プロジェクトの進捗や工数を条件別に可視化する
プロジェクト管理でもSUMIFS関数は便利です。複数のタスクの進捗やコストを条件ごとに集計することで、リソース配分やスケジュール調整に役立ちます。たとえば「プロジェクトAで、担当者がBの完了タスクにかかった時間だけを合計する」といった使い方ができます。
3.顧客層や購買履歴を分析してターゲット施策を強化する
顧客の購買履歴の分析にもSUMIFS関数は役立ちます。特定の顧客層や商品カテゴリーごとの売上を集計することで、ターゲットを絞った施策や販売戦略の検討に活かせます。たとえば「20代の男性が購入したゲーミング用品の売上合計を算出する」といった使い方が可能で、マーケティング施策の効果確認や今後の戦略立案に活用できます。
4.在庫状況を倉庫・カテゴリー別に把握して欠品を防ぐ
在庫管理でもSUMIFS関数は強力なツールです。たとえば「倉庫Aにある消耗品」や「直近3か月に入荷した商品の在庫量」といった複雑な条件でも、一括で確認できるため、欠品や過剰在庫のリスク管理が格段に効率化されます。
SUMIFS関数の応用テクニック
ここでは、SUMIFS関数の可能性を最大限に引き出す応用テクニックを紹介します。
不等号を使った数値範囲の指定
SUMIFS関数では、「>=」「<=」「>」「<」といった不等号を使用して、数値の範囲を条件として指定できます。この機能により、期間指定や金額帯別の集計が可能となります。
ワイルドカードを使った部分一致検索
「」(アスタリスク)や「?」(クエスチョンマーク)で部分一致検索が可能です。商品名に「プレミアム」が含まれる商品の売上集計や、「田中」で始まる顧客の購入金額算出ができます。
日付条件の指定
さまざまな日付形式に対応した柔軟な条件設定が可能です。月初と翌月初の日付で月単位集計や、TODAY関数を活用した動的な期間指定で、常に最新30日間のデータを集計するといった用途に活用できます。
よくあるエラーと対処法
最も頻繁に発生する問題として、結果が0になってしまうケースがあります。これはおもに条件の記述ミスが原因で、文字列条件を二重引用符で囲み忘れたり、数値条件で不適切な比較演算子を使用したりすることで発生します。
範囲指定に関するエラーも一般的な問題です。条件範囲と合計範囲のサイズが一致していない場合、予期しない結果やエラーが発生する可能性があります。全ての範囲指定で統一性を保つように注意しましょう。
データ型の不整合も注意が必要な点です。数値として扱いたいデータが文字列として認識されている場合、正しい集計ができません。セルの表示形式を確認し、必要に応じて数値形式に変更することで解決できます。
他の関数と組み合わせる場合の活用法
SUMIFS関数は他の関数と組み合わせることで、さらに多角的な分析や柔軟な集計が可能になります。ここでは、代表的な関数との連携方法を紹介します。
COUNTIFS関数
SUMIFSが金額や数量の合計を求めるのに対し、COUNTIFS関数は条件に一致するデータの件数を算出します。両方を併用することで、特定条件下での売上件数と売上金額を同時に分析でき、量と質を同時に把握することが可能です。
例えば東京地域で販売された商品の売上合計と販売件数を同時に確認したい場合、SUMIFSで売上金額の合計を算出し、COUNTIFSで販売件数をカウントすることで、売上分析に必要な情報を一度に取得できます。
AVERAGEIFS関数
AVERAGEIFS関数は、指定した条件に一致するデータの平均値を求める関数です。SUMIFSと併用することで、単純な合計だけでなく平均売上や平均単価など、より詳細な指標を導き出せます。
例えば東京地域の家電商品の平均売上を求めたい場合、AVERAGEIFS関数を用いて売上額の範囲のなかから「家電」で「東京」の条件を満たすデータだけを抽出して平均を計算します。条件付きで平均値を算出すれば、特定のデータに絞った精度の高い分析が可能です。
IF関数やVLOOKUP関数
IF関数と組み合わせると、SUMIFSで算出した合計に条件分岐を加えることができます。例えば売上が一定金額以上であればその数値を返し、未達の場合は「条件未達」と表示するなど、柔軟な集計が可能です。
またVLOOKUP関数と連携すれば、SUMIFSで集計した売上データに対応する商品マスタや顧客情報を紐づけて表示できます。例えば大阪地域での商品Aの売上をSUMIFSで求めた後にVLOOKUPでその商品の詳細情報を取得することで、売上結果と関連情報を同時に分析できるようになります。
記事まとめ
SUMIFS関数は、複数条件での合計算出を効率化する強力なツールです。基本的な構文から応用テクニックまで習得することで、売上分析や在庫管理をはじめとするさまざまな業務の効率化を実現できます。
とはいえ、SUMIFS関数を含むExcel関数の習得は、独学では限界があることも事実です。Excel関数の体系的な学習をお考えの企業様は、1,000社以上の研修実績を持つ、リンクアカデミーの企業向け研修サービスをご検討ください。