【事例あり】エンゲージメントとは?ビジネスでの意味や高める為のポイントを解説
目次[非表示]
- 1.エンゲージメントの意味とは
- 2.従業員エンゲージメントとは
- 2.1.従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い
- 2.2.従業員エンゲージメントの必要性
- 3.企業がエンゲージメントを高めるメリット
- 3.1.組織が活性化する
- 3.2.モチベーションが向上する
- 3.3.業績が向上する
- 3.4.退職率が低下する
- 4.従業員エンゲージメントの調べ方
- 4.1.アンケート調査のメリット
- 5.従業員エンゲージメントの指標
- 5.1.1.エンゲージメント総合指標
- 5.2.2.エンゲージメントレベル指標
- 5.3.3.エンゲージメントドライバー指標
- 6.従業員エンゲージメントの質問例
- 7.従業員エンゲージメントサーベイの事例
- 8.従業員エンゲージメントの分析の際の注意点
- 9.従業員エンゲージメントの向上施策とポイント
- 9.1.従業員の価値観を把握・理解する
- 9.2.マネジメント層の教育を行う
- 9.3.経営者のビジョンを浸透させる
- 9.4.従業員の能力向上機会を設ける
- 9.5.従業員にオーナーシップを持たせる
- 10.従業員エンゲージメントが上がらないときの原因と改善例
- 10.1.企業のビジョンや目指す方向性に共感できていない
- 10.2.仕事量が過多になっている
- 10.3.職場での人間関係が良くない
- 10.4.キャリアに対する不安がある
- 11.従業員エンゲージメントが高い企業の成功事例
- 12.法人向けの研修ならリンクアカデミー
- 13.まとめ
- 14.エンゲージメントに関するよくある質問
企業経営の1つのキーワードとして、「エンゲージメント」という言葉をよく耳にするようになりました。ただ、一口にエンゲージメントといってもその意味は様々であり、人事領域やマーケティング領域など活用の場は多岐に渡っています。エンゲージメントを適切に理解して、経営に活用することで多くのメリットを得ることができます。
本記事では、企業経営のテーマであるエンゲージメントについてその内容や向上のポイントをご紹介します。
エンゲージメントの意味とは
エンゲージメントとは、「婚約」や「雇用」、「約束」といった意味を持つ「engagement」から由来している言葉です。元々「engagement」には「関係性」や「関係を結ぶ」という意味合いがあるため、特にビジネスシーンではエンゲージメントは以下のような意味で用いられています。
■従業員が会社に対して感じている愛着
■会社の方針に対する共感
■消費者が企業に対して持つ良いイメージ
エンゲージメントはシチュエーションによって様々な意味を持つため、一概にはその概念を定めることは難しいですが、人同士や人とモノ、人と企業の間の関係性を表す言葉であると覚えておくと良いでしょう。
人事におけるエンゲージメントの意味
エンゲージメントのポピュラーな使われ方として、人事におけるエンゲージメントがあります。人事領域では、「エンプロイーエンゲージメント」や「従業員エンゲージメント」というように言葉を組み合わせた使われ方もされています。人事領域において、エンゲージメントは「従業員が会社に対して感じている愛着心」や「会社の方針に対する共感」というように、従業員と会社の関係性を表すものとして用いられています。エンゲージメントが高いと、従業員全体がまとまりを持って行動や判断をしたり、業務生産性が向上したりといった状態になりやすくなります。
マーケティングにおけるエンゲージメントの意味
人事領域だけではなく、マーケティングにおいてもエンゲージメントという言葉はしばしば使われます。マーケティング領域においてエンゲージメントは、「企業が発信するメッセージや、ブランド、商品・サービスに対する、消費者が感じる関係性や共感」といった意味があります。企業に対する消費者のエンゲージメントが高ければ、商品・サービスへの好感が高まって購買行動が起こりやすくなると言われています。
また、マーケティングにおけるエンゲージメントとして、現在注目されているものがWEBマーケティングでのエンゲージメントがあります。WEBマーケティングでは、FacebookやTwitter、Instagram(インスタ)といったSNSでの「いいね!の数」や「シェアの数」などが消費者のエンゲージメントを測定する指標として用いられています。
従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントは、「従業員」と「エンゲージメント」を組み合わせた言葉であり、人事領域で用いられるエンゲージメントの呼び方の1つです。従業員エンゲージメントは先述した通り、「従業員が会社に対して感じている愛着心や会社の方針に対する共感」といった意味を持っています。一般的に、従業員エンゲージメントが高まることで企業経営は安定して、事業成果を向上させることができると言われています。
従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い
従業員エンゲージメントとよく混同される言葉として、「従業員満足度」があります。多くの企業で従業員満足度調査として、会社に対して満足しているところ、不満に思っているところをアンケートなどで調べられていますが、従業員満足度と従業員エンゲージメントは異なる概念であることに注意しましょう。
従業員満足度は、主に従業員に対する待遇や従業員が持っている特権に対する満足度を表します。一方で、従業員エンゲージメントは更に範囲を広げて、「理念や目標への共感度合い」や「人や組織風土への愛着」、「仕事に感じるやりがい」といったものに対する期待度と満足度を表しているものです。
従業員エンゲージメントの必要性
では、なぜ従業員エンゲージメントといった概念を考える必要があるのでしょうか。その必要性を考えるために、「産業構造の変化」と「労働環境の変化」を見てみましょう。
まず、産業構造は下図のように第一次産業や第二次産業の割合が低くなり、第三次産業の割合が高くなっています。つまり、「売れるもの」が企業が持っている設備や資源といったものを源泉にしていたものから、人やサービスを源泉にしたものに変化しているということが分かります。
(出典:総務省「労働力調査 長期時系列データ」)
次に、労働環境の変化について見てみましょう。日本の人口は少子高齢化の影響で減少傾向にあり、労働人口も減少していくと考えられています。また、昨今は1つの企業に勤め続けるだけではなく、転職や独立をしてキャリアを積み上げることが一般的になっています。企業が人材を確保する難易度は上がってきていると考えられるでしょう。
(出典:総務省「平成28年度 情報白書」)
これらをまとめると、企業は「従業員に選ばれる求心力を高め、従業員のパフォーマンスが向上する組織づくり」を求められていると言えます。言い換えると、企業に対する愛着心であり従業員の働きぶりを良くする従業員エンゲージメントを高める必要があると言えます。
企業がエンゲージメントを高めるメリット
日本全体の産業構造や労働環境の傾向から、エンゲージメントの必要性をご紹介しました。では、企業にとってはエンゲージメントを高めることで他にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、企業がエンゲージメントを高めることで得ることができるメリットについてご紹介します。
組織が活性化する
エンゲージメントを高めることで、組織が活性化することが期待できます。エンゲージメントが高い組織では、従業員の業務に対する積極性や熱意も高まると言われています。そのため、同じ業務でもより創意工夫を凝らし、従業員同士のコミュニケーションが活発になり、組織全体が活性化するようになります。
モチベーションが向上する
従業員のモチベーションが向上することも、エンゲージメントを高めるメリットとして挙げられます。エンゲージメントは従業員がどのようなことを求めているかを把握して、それに対して企業が適切に応えることで高まります。その過程の中で、従業員は会社とのコミュニケーションが取れていると感じ、経営が意図していることを汲み取りやすくなります。その結果、会社に対する貢献意欲が湧いてモチベーションが高まることが期待できます。
業績が向上する
企業がエンゲージメントを高めることで得られるメリットとして、業績の向上も挙げられます。エンゲージメントが高まると、従業員は意欲的に業務に取り組むようになり、業務に対する工夫も活発になります。下図のようにエンゲージメントの高さを表す指標である「エンゲージメントスコア」と営業利益率は比例して大きくなる傾向があるということが分かっています。
(出典:エンゲージメントスコア(ES)と営業利益率との相関性)
退職率が低下する
エンゲージメントを高めることで、退職率を低下させることも期待できます。下図はエンゲージメントスコアと退職率の関係を表したグラフです。
(参考:エンゲージメントスコア(ES)と退職率の相関)
グラフが示しているように、エンゲージメントスコアが高くなると退職率は低くなることが分かります。エンゲージメントが高くなることで、従業員は会社にいる意味や働きがいを感じやすくなるため、退職率は下がることが考えられます。
従業員エンゲージメントの調べ方
従業員エンゲージメントを高めるためには、まずは自社のエンゲージメントの状態がどのようになっているのかを把握することが重要です。適切に従業員エンゲージメントを調査することで、まずどの部分から手を付ければ良いのかを検討しましょう。
アンケート調査のメリット
従業員エンゲージメントを調べる方法として、代表的なものは「アンケート調査」です。アンケート調査はインタビューや生体データの取得といった調査方法よりもハードルを低く実施することができると共に、網羅的な調査を行うことが可能になります。
また、エンゲージメントを調査するアンケートは「エンゲージメントサーベイ」とも呼ばれ、以下のような種類があります。
■センサスサーベイ
センサスサーベイは、年に1回や2回程度実施するアンケート調査であり、設問数は50問〜150問程度です。設問数が多いため、企業の組織状態を網羅的に確認してその後の経営方針に活用することができます。
■パルスサーベイ
パルスサーベイは、月に1回や2回、それ以上の短い周期で実施するアンケート調査であり、設問数は1問〜10問程度です。一般的にはセンサスサーベイの結果を見て、改善項目としてアクションに取り組んでいるものに関連した設問を設定します。パルスサーベイを取ることで、アクションの進捗確認や軌道修正を行うことができます。
従業員エンゲージメントの指標
従業員エンゲージメントを調査するためには、「エンゲージメント総合指標」や「エンゲージメントレベル指標」、「エンゲージメントドライバー指標」といった指標を要素として調べることが一般的です。それぞれの内容を確認しておきましょう。
1.エンゲージメント総合指標
エンゲージメント総合指標とは、従業員が会社に対して総合的にどのような評価を行うかを調べたものです。エンゲージメント総合指標としては、下記のようなものが挙げられます。
・総合満足度
会社や仕事、上司、職場といったものにどの程度満足しているか
・eNPS(Employee Net Promoter Score)
知人や家族に自分の会社をどの程度勧めたいか
・継続勤務意向
今働いている会社でどの程度長く働きたいと感じているか
2.エンゲージメントレベル指標
エンゲージメントレベル指標とは、従業員が仕事、業務に対してどの程度の熱意ややりがいを感じているかを表す指標のことです。エンゲージメントレベル指標としては、以下のユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度が有名です。
■活力
仕事から活力を得ていきいきとしている
■熱意
仕事に誇りとやりがいを感じている
■没頭
仕事に熱心に取り組んでいる
エンゲージメントレベル指標を調べる際には、以下のような設問が設定されることが一般的です。
■自分の仕事に誇りや価値を見出すことができているか
■仕事をしていると時間が経つのが早く感じるか
3.エンゲージメントドライバー指標
「ドライバー」とは、「原動力」や「推進力」といった意味で用いられる「driver」から来ている言葉です。そのため、エンゲージメントドライバー指標とは、従業員のエンゲージメントを向上させる要因として、どのようなものがあるのかを調査する指標を意味します。エンゲージメントドライバーとして、以下のような要因が挙げられます。
・組織ドライバー
組織風土や職場の環境などがエンゲージメントに影響する
・職務ドライバー
仕事のやりがいや難易度などがエンゲージメントに影響する
・個人ドライバー
個人の特性や性格などがエンゲージメントに影響する
従業員エンゲージメントの質問例
従業員エンゲージメントをアンケートにより調査する際には、質問を設定する必要があります。質問を考える際には、以下のような「人が組織に対して感じる魅力因子」のようなフレームに沿って検討すると良いでしょう。
(参考:人が組織に対して感じる4つの魅力因子)
このフレームは、人が組織に対して感じる魅力は以下のように4つに分類できると言われているところから起因しています。
■目標の魅力:理念やビジョン、会社の目指す方向性に感じる魅力
■活動の魅力:事業内容や仕事内容に感じる魅力
■組織の魅力:人や風土に感じる魅力
■待遇の魅力:給与や福利厚生に感じる魅力
この4つの魅力因子に沿って、例えば「理念やビジョンに共感しているか」や「キャリアに対する閉塞感はないか」といったような質問を考えていくと良いでしょう。
従業員エンゲージメントサーベイの事例
従業員エンゲージメントサーベイは様々なサービス提供者が存在します。ここでは、リンクアンドモチベーションが提供している「モチベーションクラウド」を従業員エンゲージメントサーベイの事例としてご紹介します。
モチベーションクラウドでは、国内最大級の8,740社、237万人のデータベースをもとに網羅的に組織状態を可視化・定量化することができます。大きな特徴として、下図のような「設問項目」と「調査方法」が挙げられます。
まず、設問項目としては、先述した「4つの魅力因子」もベースにしながら、「会社」「上司」「職場」といった区分けで16個の領域で従業員に対して網羅的な質問を行います。また、「満足度」だけではなく「期待度」を調査することで、「従業員が何に期待していて、満足しているのか」を把握することができるため、課題の優先順位をすぐに考えることができるようになっています。
従業員エンゲージメントの分析の際の注意点
従業員エンゲージメントを調査した後には、得られた結果に対する分析を行います。この際には、「相関関係」と「因果関係」を区別することがポイントです。相関関係と因果関係とは、それぞれ以下のようなものです。
■相関関係:ある出来事と、他の出来事の間に何らかの関連性がある状態
■因果関係:ある出来事と、他の出来事が原因と結果の関係になっている状態
例えば、「朝焼けが赤く見える日は雨が降る」といったことは「朝焼けの状態」と「天候」の間に相関関係があると言えます。また、「雨の中で傘をささないと濡れる」といったことは、「行動」と「結果」の因果関係があります。
従業員エンゲージメントを分析する際には、「相関関係」を「因果関係」だと誤解しないようにすることが大切です。例えば、「労働時間が長い従業員がエンゲージメントが高い」といった結果はあくまで「相関関係」です。これを「因果関係」と捉えてしまうと、「労働時間を伸ばせばエンゲージメントは高まる」といった分析になってしまうため注意しましょう。
従業員エンゲージメントの向上施策とポイント
では、従業員エンゲージメントを高めるためにはどのような施策を実施すれば良いのでしょうか。代表的な施策とポイントをご紹介します。
従業員の価値観を把握・理解する
まずは、自社の従業員がどのような価値観を持っているのかを把握・理解しましょう。従業員の状態を把握しないままに施策先行で実行をしてしまうと、「自分達のことを何も分かってくれていない」といった感情が生まれてしまい、せっかくの施策が逆効果となる可能性があります。
「挑戦的な仕事をして、早く成長したい」といった従業員もいれば、「できるだけ一歩一歩自分のペースで進めたい」といった従業員もいます。従業員に対するアンケートやインタビューなどを活用して、全体としてどのような傾向があるのかを把握するようにしましょう。
マネジメント層の教育を行う
従業員エンゲージメントに関係する大きな要素の1つが、マネジメント層が経営と現場を適切に繋げることができているかです。「繋げる」とは、経営からの方針やメッセージを現場に伝えることに加えて、現場の従業員の提案や意見を収集して経営層に伝えることを指します。
マネジメント層がこういった「マネージャー」「管理職」としての役割を認識していないケースは多く見受けられます。まずは「自社のマネージャーとしてどのようなことを求めるのか」を明確にして、それを実現するためのスキルを身につける機会を提供するようにしましょう。
経営者のビジョンを浸透させる
マネジメント層の教育だけではなく、会社としてどのようなメッセージを従業員に伝えていくのかを明確にして浸透を行うことも非常に重要です。経営者のビジョンは、いわば会社全体をまとめる指針となるものです。ビジョンが浸透していない場合には、従業員の会社や仕事に対する認識や基準がバラバラになってしまい、全体としての成果や成長が鈍化してしまう可能性があります。
「どのような状態を会社として目指しているのか」や「どのような人材を求めているのか」といった目指す組織像や求める人材像などを言葉にして伝えることを怠らないようにしましょう。
従業員の能力向上機会を設ける
昨今、日本でも人的資本開示の動きが高まっている中で、従業員に対する能力向上の機会をどれだけ設けているのか、といった観点も社会的に重要視されています。
リスキリングやDXの動きが進むと同時に、個人として主体的に能力向上に取り組む人が増えています。一方で、会社から様々な発信はあるものの具体的に何から取り組んでよいのか分からない、企業主体で能力向上のための機会を設けてほしいと感じている従業員も少なくありません。
人材の流動化が激しい昨今においては、どれだけ自分たちの将来キャリアを考えてくれているのか、そのための育成の機会を設けてくれているのかといった点も、「選ばれ続ける組織」には必要な観点と言えるでしょう。
従業員にオーナーシップを持たせる
オーナーシップとは、自発性や主体性といった意味を持つ言葉です。従業員がオーナーシップを持っていないと、いわゆる指示待ちや受け身の姿勢が強くなります。そのような従業員が多くなると、よほど売上が上がる仕組みが無いと企業の経営は難しくなるだけではなく、従業員が仕事に対して感じるやりがいや楽しさも薄れていきます。
仕事を通じてどのようなことを実現したいのかや、自身のキャリアイメージを明確にする機会を提供するなどをして、オーナーシップを持って仕事に取り組むようにする工夫が必要です。
従業員エンゲージメントが上がらないときの原因と改善例
従業員エンゲージメントが上がらない場合には、様々な原因が考えられますが、ここでは先述した「4つの魅力因子」に沿って、それぞれが満たされていない場合を考えていきましょう。
(参考:人が組織に対して感じる4つの魅力因子)
企業のビジョンや目指す方向性に共感できていない
まずは「目標の魅力」が感じられていない場合を考えます。目標の魅力を感じられていない時には、多くの場合「会社のビジョンや目指す方向が不明瞭」「掲げている目標の意図や背景が納得できていない」といった原因が挙げられます。
このような場合には、しっかりとビジョンを分かりやすくイメージできる言葉として伝えて、そのビジョンと戦略、目標の間にどのような関係があるのかを伝えることが大切です。具体的には、全社会議や総会などでビジョンと戦略の意図や背景を伝えることや、社内インフラを通じて経営からのメッセージを発信することなどが方法として挙げられます。
仕事量が過多になっている
次に、「活動の魅力」が感じられていない場合です。活動の魅力は事業内容や仕事内容に対して感じる魅力ですが、これを感じられていない時には「業務量が多すぎて仕事の意味ややりがいを感じられていない」といった原因が考えられます。
この場合には、「適切な業務量に調整をする」といった対策が有効です。これは上司や経営層が判断をして業務量を減らしたり、負荷を軽減するといったことと共に、従業員本人が無駄な仕事を増やしていないのかを確認する必要があります。具体的には、業務の全体像を再整理して「やめること」を決めることや、従業員同士での業務の再分配などの方法があります。
職場での人間関係が良くない
「組織の魅力」が感じられていない場合には、「職場での人間関係が良くない」といったことが生じていることが多いでしょう。職場の人間関係が悪いといったことは離職や転職の理由としても代表的なものであるため、企業としては注意を払う必要があります。
職場の人間関係が良くない場合には、多くの場合「それぞれが勝手なイメージを持っている」といったケースが多く見受けられます。コミュニケーションが不足している中で、それぞれが相手やチームに対して空想のイメージを持っていると、そのイメージは膨らんでいきます。エンゲージメントサーベイの結果に対する解釈や感想を共有する対話会の実施や、それぞれのキャリアや人生を共有する場を設けるなどが有効な手段です。
キャリアに対する不安がある
「待遇の魅力」を感じられていない場合には、給与や福利厚生に対する不満があることと共に、「キャリアに対して不安を抱えている」といった場合が多いでしょう。「現在の給与や待遇がずっと続くのではないか」「将来に対して漠然と不安を感じる」といったことが理由になって、現在の待遇に対する不満が生まれていることが考えられます。
社内でのキャリアステップを明確にすることや、キャリア面談を実施して自身のキャリアイメージを明確にすることなどを実施すると良いでしょう。
従業員エンゲージメントが高い企業の成功事例
佐竹食品グループ
佐竹食品グループは関西を中心に50店舗程のスーパーマーケットを経営している企業であり、従業員数はパート・アルバイトを含めると2,000人を超えます。佐竹食品グループは「理念経営」を重視した企業であり、従業員に徹底した理念の浸透をおこなっています。その結果、従業員が自分達でお客様に楽しんで買い物をしてもらう方法を考え実行することで、着実な成長を遂げています。
また、リンクアンドモチベーションが毎年エンゲージメントの高い会社を表彰する「Best Motivation Company Award」においても連覇を果たしており、多くの企業の中で高いエンゲージメントを継続しています。理念にこだわり、浸透に余念がない経営をしていることでエンゲージメントの向上と事業の拡大に成功している企業事例だと言えるでしょう。
ラクスル株式会社
ラクスル株式会社は、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」といったビジョンを掲げて小規模印刷サービスや物流や広告領域を展開している企業です。ラクスル社は元々経営陣のカリスマ性が強い企業でしたが、規模が大きくなるにつれて経営が全社を見るという体制に無理が出てきました。
そこで、以下のように経営トップへの依存から現場主体の経営に変化するための施策を実施していきました。
■経営とミドルメンバー、現場のメンバーでの役割を明確にする
■採用を全社で取り組む仕事だと定義して、全員で採用活動を盛り上げる
■事業計画と共に、人員計画を考えてビジョンや未来の組織像を明確にする
■ビジョンを反映した人事制度を構築する
■幹部研修を実施して、ミドルマネジメントを強化する
数々の取り組みの結果、エンゲージメントを大きく向上させました。人への依存ではなく、チームや仕組みを活用したエンゲージメント向上事例だと言えます。
富士スバル株式会社
富士スバル株式会社は、群馬県でSUBARU社の自動車販売を行っているカーディーラーの企業です。元々、顧客満足度である「カスタマーサクセス(CS)」でSUBARUブランド全国1位を獲得する企業でしたが、ある時期から1位を獲得することができない状況が続きました。
そこで、「顧客満足度を高めるために、働いている従業員のエンゲージメントの向上を行う」といった経営方針を掲げて、エンゲージメントの向上に取り組みました。アンケートによるエンゲージメント調査を定期的に行い、その結果の共有や分析を社内で行って改善アクションに取り組み続けました。
その結果、PDCAサイクルを回してエンゲージメント向上を実現しました。エンゲージメント向上の習慣化をおこなっている好事例だと言えるでしょう。
法人向けの研修ならリンクアカデミー
本記事のテーマである「エンゲージメント」において上段で成功事例をお伝えさせていただき、その中で弊グループである”リンクアンドモチベーション”のエンゲージメントサーベイについて簡単に触れさせていただきました。
人的資本開示が日本でも進む中で、エンゲージメントを可視化し、現状の組織課題を定量的に明らかにすることは施策策定において必要不可欠です。
また、エンゲージメントをスコア化した結果としてよく挙がる組織課題であり、尚且つ比較的施策を実施した効果が現れやすいのが「従業員の能力向上機会の提供」です。企業主体での個人の能力向上機会の提供を行うことで、エンゲージメントの向上だけでなく、業務効率改善や企業のDX推進の土台作りにも繋がるのではないでしょうか。
弊社リンクアカデミーは「あなたのキャリアに、本気のパートナーを」をミッションに掲げて個人が「学び」を通じ自らのキャリアを磨き上げられる場を目指しています。
そのために
・㈱アビバが提供してきたパソコンスキルの講座提供
・大栄教育システム㈱が提供してきた資格取得を支援する講座
・ディーンモルガン㈱が提供してきた「ロゼッタストーン・ラーニングセンター」のマンツーマン英会話レッスン
といったキャリアアップに関するサービスをフルラインナップで展開してきました。
この実績と経験を活かして、
・内定者・新入社員の育成
・生産性向上
・営業力強化
・DX推進
といった幅広い課題に対してもソリューションを提供しています。
まとめ
エンゲージメントとは、人と人、人とモノ、人と企業の関係性を表す言葉です。特に人事領域においては、従業員が会社に対して感じる愛着心や方針への共感などを意味しています。エンゲージメントを高めることで、組織を活性化させることができ、利益の向上や離職の防止などを実現することが期待できます。エンゲージメントを向上させるためには、まずは適切な現状把握を行って課題や施策の優先順位を付けることが重要です。ご紹介した方法やポイントを活用して、自社のエンゲージメント向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。
エンゲージメントに関するよくある質問
Q1:エンゲージメントとは?
A1:エンゲージメントとは、「婚約」や「雇用」、「約束」といった意味を持つ「engagement」から由来している言葉です。元々「engagement」には「関係性」や「関係を結ぶ」という意味合いがあるため、特にビジネスシーンではエンゲージメントは以下のような意味で用いられています。
■従業員が会社に対して感じている愛着
■会社の方針に対する共感
■消費者が企業に対して持つ良いイメージ
Q2:エンゲージメントを調べる方法は?
A2: 従業員エンゲージメントを調べる方法として、代表的なものは「アンケート調査」です。エンゲージメントを調査するアンケートは「エンゲージメントサーベイ」とも呼ばれ、以下のような種類があります。
■センサスサーベイ
センサスサーベイは、年に1回や2回程度実施するアンケート調査であり、設問数は50問〜150問程度です。設問数が多いため、企業の組織状態を網羅的に確認してその後の経営方針に活用することができます。
■パルスサーベイ
パルスサーベイは、月に1回や2回、それ以上の短い周期で実施するアンケート調査であり、設問数は1問〜10問程度です。アクションの進捗確認や軌道修正を行うことができます。
Q3:エンゲージメントが高い企業の特徴
A3:エンゲージメントが高い企業の多くは、「組織改善の習慣化」をおこなっていると言えます。ご紹介した企業事例も、「何か特別なことを1回実施した」のではなく、「地道な改善活動を継続的に行った」といった共通点があります。一朝一夕では上手くいきませんが、粘り強く改善活動を行えばエンゲージメント向上を実現できるでしょう。