「研修」の意味とは?目的や流れ、成功ポイントを解説
目次[非表示]
- 1.「研修」の意味とは?
- 2.社内研修と社外研修の違いとは?
- 3.研修の種類とそれぞれのメリット・デメリット
- 4.実施対象別にみる研修を行う目的とは
- 5.企業が求める人物像・課題について
- 6.研修を行う流れ
- 6.1.流れ①:研修の目的と対象者の決定
- 6.2.流れ②:研修内容と実施方法の決定
- 6.3.流れ③:予算やスケジュールの確保
- 6.4.流れ④:研修の実施
- 6.5.流れ⑤:研修報告書の回収
- 7.研修時の適切な服装
- 8.企業が研修を行う際の成功ポイント
- 8.1.ポイント①:段階的に研修を進める
- 8.2.ポイント②:スケジュール管理をする
- 8.3.ポイント③:社内研修と社外研修を使い分ける
- 8.4.ポイント④:トレーナー側の研修も行う
- 8.5.ポイント⑤:振り返りの実施をする
- 8.6.ポイント⑥:外部企業への委託
- 9.研修に関する助成金はある?
- 9.1.人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
- 9.2.人材開発支援助成金
- 10.DX推進に向けた法人研修ならリンクアカデミー
- 11.リンクアカデミーの研修導入事例
- 12.記事まとめ
- 13.研修に関するよくある質問
新入社員研修やスキルアップ研修、管理職研修など、企業では数多くの研修が行われています。OJTやOff-JT、eラーニングといった研修の手法も様々ですが、基本的に抑えておきたい流れやポイントを意識しておかなければ効果も高め切ることができない可能性があります。
本記事では、実施対象別に行う研修ごとの目的や各研修手法でのメリット・デメリットに加えて、研修を行う流れや成功するためのポイントをご紹介します。
独自の「診断技術」によりITスキルを可視化し、課題に合った研修プログラムをご提案
定量的にスキル向上させるなら、リンクアカデミー
⇒ITスキル研修資料をダウンロードする
「研修」の意味とは?
「研修」とは、勉強会や講座などの機会を通して、参加者の知識やスキルの習得を促進することを指します。自社内で内製する「社内研修」と外部企業や講師に委託する「社外研修」があります。
しかし、「知識やスキル」と言っても様々なものがあります。弊社のグループ会社である株式会社リンクアンドモチベーションが経済産業省より受託した平成17年度「社会人基礎力に関する調査」を通して、要件定義をした下図の「人材要件フレーム」を元に整理してみます。
参考:人材要件フレーム
(モチベーションエンジニアリング研究所,「新入社員時のビジネススタンスと成果の関係」に関する研究結果を公開)
人材に必要な能力はこのように「スタンス」「ポータブルスキル」「リテラシー」「テクニカルスキル」で構成されていると整理でき、下の方から開発していくことが一般的です。
特に、DX化推進に伴う事業戦略の変更への対応が求められる昨今では、会社全体を上げてのリテラシーやテクニカルスキルの見直し、向上の必要性が高まってきています。
しかし、リテラシーやテクニカルスキルは日進月歩で変化・進化をしていくため、自社内での育成は困難なケースが多いのが実情です。効果と効率を意識する上では社外研修やe-learningなどの活用を考える必要があります。
独自の「診断技術」によりITスキルを可視化し、課題に合った研修プログラムをご提案
定量的にスキル向上させるなら、リンクアカデミー
⇒ITスキル研修資料をダウンロードする
社内研修と社外研修の違いとは?
研修には自社内で内製して実施する「社内研修」と外部の企業や講師に委託する「社外研修」があります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
社内研修の特徴
社内研修は自社内で研修プログラムを考え、自社の従業員が講師として実施する研修です。社内研修は自社内のビジョンや風土、実際の業務内容を反映しやすく、社内の状態にも合わせた設計や実施がしやすいというメリットがあります。
一方で、研修の設計や実施にはある程度時間や労力がかかります。特に社内に研修についてのノウハウが無い場合は担当する従業員の負担が大きく、効果的な研修を実施できない可能性もあります。
※更新日:2022/09/14
社外研修の特徴
社外研修は、研修のアウトソーシングを提供している事業者に委託をする場合や、自治体や公的機関が開催する訓練プログラムを利用する場合などがあります。外部の開催会場に出向いて参加することも、自社の会議室や研修施設に講師を招いて実施することもできるため委託先と相談しながら開催形態を決めることが可能です。
社内研修と比較すると費用はかかりますが、研修に対する専門知識やノウハウを持っている事業者が多いためより効果の期待できる研修プログラムを受講することができます。
研修の種類とそれぞれのメリット・デメリット
OJT
OJTは “On the Job Training”を略したもので、普段の職場で行う教育・訓練を指します。
■OJTのメリット
・実践的な知識やスキルが身につく
OJTでは実際の業務を通して教育・訓練を行うため、より実践的な知識やスキルを身につけることができます。現場で求められるスピードやクオリティを直接感じながら学ぶため、業務で必要なレベルへの認識が周囲と対象の従業員の間ですり合いやすくなります。
・従業員間の連携が向上する
直接周囲がコミュニケーションを取って教えることで、従業員間の関係性が深まることが期待できます。また、業務を通じて上司や先輩、同僚と関わることで、それぞれの得意分野も把握できるので質問や相談もしやすくなり、業務における連携度合いが高まるでしょう。
・コストを抑えることができる
Off-JTは育成環境を整えたり、場合によっては外部の講師やプログラムを活用したりすることになるためある程度のコストがかかります。一方でOJTでは多くの場合そのようなコストはかかりません。
■OJTのデメリット
OJTのデメリットとしては、「従業員の負担が大きくなる」ことが挙げられます。
教育・訓練する側にとっては、通常の業務の時間に加えて対象となる従業員に教える時間がかかることになります。育成するポイントやOJTに対する企業側からのサポート体制が整っていない場合には、大きな負担になる懸念があります。
教育・訓練を受ける側にとっても、OJTを支える体制が整っていない場合には「人によって教えられることが違う」「教えられたことが理解できない」というような状況になる可能性があります。こういった状況が続くとモチベーションも低下する恐れがあります。
※更新日:2022/08/31
Off-JT
Off-JTとは、“Off-the-Job Training” を略したものであり、普段の職場から離れて教育・訓練を行うことを意味します。
■Off-JTのメリット
・習得する知識やスキルのばらつきを低減できる
OJTのみによる教育・訓練では教える人によって持っている知識やスキル、教え方などに違いが生じます。その結果教育される側の従業員も人によって習得する知識やスキルに差が出てしまい、全体としての生産性も低下してしまうリスクがあります。
Off-JTでは対象となる従業員が同じプログラムを通じて教育されるので、習得する知識やスキルが従業員によってばらつく可能性を抑えることが期待できます。
・定期的な学習機会を生み出せる
日常の業務をしている中では、個々人でスキルアップの機会を作り続けることが難しくなる場合もあります。企業側からOff-JTによる教育を行うことで、定期的に学習できる機会を生み出すことができ、継続的なスキルアップを促すことが期待できます。
■Off-JTのデメリット
Off-JTのデメリットとしては、「実際の業務に活かすためには工夫が必要になる」ことが挙げられます。Off-JTでは基本的に汎用的な知識・スキルを教えることになりますが、実際の業務シーンでは状況によってそのまま適用できない場合もあります。
業務においてOff-JTで学んだことを活用できる場面が出てきた時には、周囲から活用を促したり、業務の振り返りをOff-JTで学んだ内容を元に行ったりすることが大切です。
※更新日:2022/08/20
eラーニング
eラーニングとは、主にパソコンやスマートフォンのような電子機器を用いてインターネット上で学習することを指します。eラーニングの “e”はelectronicの略であり、「電子的な」という意味を持っています。
■eラーニングのメリット
・場所を選ばずに学習できる
スマートフォンやタブレットのようなデバイスで学習できるため、すきま時間にどこでも学習することができます。
・自分のペースで学習できる
学習コンテンツはいつでも公開されているため、自分の学習状況に合わせて何度か見返したり、早めに学習したりと、自分なりのペースで学習ができます。
・自身の学習状況が即座にわかる
理解度の確認テストやレポートなどもコンテンツや単元ごとに用意されていることが多いため、自身の学習状況(得意分野や苦手分野など)が即座に把握できます。
■eラーニングのデメリット
eラーニングのデメリットとしては、「強制力が薄く、学習意欲を自分で高める必要がある」ことが挙げられます。
eラーニングは「いつでも・どこでも学習ができる」というメリットがある反面、「後でやればいい」という「学習意欲・モチベーションの低下」が生じる可能性もあります。また、学習意欲が元々高くない状態でeラーニングコンテンツのみを提供すると、そもそもの意味を為さないというケースも多発しています。
eラーニングはコストや管理面を考慮すると学習コンテンツとして多くの企業に導入されています。しかし、多くの人材育成担当者から「活用率の低さ・継続率の低さ」が課題として上がってきているのも事実です。
「導入はしたものの活用されない」「学習意欲・モチベーションが低い状態が続いている」という状況の際は、今一度、学習者の現状を正しく把握し、適切な支援をし直す必要があります。
参考:モチベーションの公式
(リンクアンドモチベーション,モチベーションとは?定義やモチベーションを維持、向上させる方法)
このような事態を防ぐためには、上記のように「やりたい」「やらなきゃ」「やれそう」をサポートする必要があります。例えば、
・やりたい:学習した先にどんなことができるようになるのかを短期目線(例:直近の業務での生産性向上)と長期目線(例:学習者自身のキャリアの広がり)で明示する
・やらなきゃ:求めるスキル基準や納期の設定、それをやった時、やらなかった時のBefore・Afterを示すことで、正しい危機感を醸成する
・やれそう:一人ではなく、複数名で実施することで気軽に相談や質問ができるようにする(例:部署毎にコミュニケーション施策の一環として簡単な進捗確認・共有をする)
のような関わり方・進め方をしてみてはいかがでしょうか。
※更新日:2022/09/07
実施対象別にみる研修を行う目的とは
階層別研修
階層別研修は、新入社員や若手社員、中堅社員、管理職などそれぞれの段階の従業員に対して行われる研修です。それぞれの対象についてその段階で必要な考え方や知識・スキルなどの開発や標準化を目的に実施されます。
・新入社員:ビジネスマナー、仕事に対する姿勢・スタンス、業務に必要な基本的な知識
・若手社員:専門的な知識、自分の業務を完遂するためのタスクマネジメント
・中堅社員:リーダーシップ、キャリアデザイン
・管理職:マネジメントスキル、自社の戦略構築
※更新日:2022/09/14
業務別研修
組織には営業や納品、人事、開発、広報、総務など様々な職種があり、それぞれ専門的な知識やスキルが求められます。業務別研修では、職種ごとの特徴や必要とされている要件に合わせて能力を伸ばすことを目的とされています。下記のようなものが、主に各業種で開発・育成される能力として挙げられます。
・営業:提案力、商品理解、コミュニケーション
・納品:工程管理、品質管理、プロジェクトマネジメント
・人事:組織開発、人材育成ノウハウ
・開発:プロダクトマネジメント、技術知識
・広報:情報収集、マーケティング、プレゼンテーション
・総務:法律関連知識、コンプライアンス
※更新日:2022/11/14
スキル別研修
業務別研修では、担当する業務に特化した知識やスキルの開発・育成を目的としていますが、ある程度広い範囲で共通で求められるスキルもあります。そのような汎用性が高いスキルに対しては、スキル別研修が実施されます。主に汎用性が高いスキルは、
・PowerPointやExcel、Wordなどのオフィスソフトウェア
・基本的なコミュニケーションスキル
・ITリテラシー
・デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する知識
・情報セキュリティに関する知識
・コンプライアンスに関する知識
などが挙げられます。
※更新日:2022/11/14
企業が求める人物像・課題について
人物像
日本経済団体連合会が発表した、「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」では、企業の求める人材像として下記のように「資質」「能力」「知識」に分けて期待することが示されています。それぞれの上位3つの項目を企業が「期待する」と回答した割合と共に見てみましょう。
■期待する資質
・主体性:84.0%
・チームワーク・リーダーシップ・協調性:76.9%
・実行力:48.1%
■期待する能力
・課題設定・解決能力:80.1%
・論理的思考力:72.1%
・創造力:42.6%
■期待する知識
・文系・理系の枠を超えた知識・教養:84.7%
・専攻分野における基礎知識:75.8%
・専攻分野における専門知識:61.8%
※更新日:2022/11/14
課題
一方で、企業が求める人物像の育成についてはどのような課題を抱えているのでしょうか。厚生労働省が発表した「人材育成の現状と課題」によると、特に若年層の人材育成上の課題として下記のようなものが挙げられています。
・業務が多忙で、育成の時間的余裕がない
・上長等の育成能力や指導意識が不足している
・人材育成が計画的・体系的に行われていない
・離職等で人材育成投資が回収できない
出典:人材育成上の課題
(厚生労働省,人材育成の現状と課題)
研修を行う流れ
研修を行う際には、研修の目的設定〜運営まで様々な要素を検討・決定する必要があります。主な流れを確認しておきましょう。
流れ①:研修の目的と対象者の決定
まず大切なのは研修の目的を明確にすることです。「現場の従業員へのヒアリング」、「自社の目指す姿から逆算した人物像の整理」などを行った上で、研修を通してどんな課題を解決してどのような状態を実現したいのかを議論しましょう。
また、目的に応じて研修を受ける対象者も選定しておき、研修内容やスケジュールが決まった際には事前に目的と共に告知をすることが大切です。
流れ②:研修内容と実施方法の決定
目標を設定した後には、いよいよ研修内容を検討します。設定した目標を達成するためにはどのような内容が必要かを、まずは洗い出す形で出していきましょう。それぞれの案でどのような効果が得られるかも考え、分類・ラベリングをして整理して絞り込んでいきましょう。
また、研修内容によっては「Off-JT」「OJT」「eラーニング」などの適した実施方法が変わることもあります。どの方法を組み合わせるかも同様に決定しましょう。
流れ③:予算やスケジュールの確保
研修内容や実施方法が決定すると、ある程度予算の見通しが立ちます。自社の人材育成の予算の中からどの程度のコストが捻出できるかを確認して、予算を確保しましょう。
また、研修のスケジュールも決めます。研修内容によって必要な時間は様々ですが、
・単発のインプット研修:半日〜1日
・OJTも交えた業務スキルアップ研修:1週間〜数ヶ月
・長期的な能力開発研修:半年〜1年
というように設定するのが一般的です。
流れ④:研修の実施
研修当日やその前後は受講者に学びが定着しやすい環境づくりが必要です。
・受講者への研修内容や目的の再伝達
・社内外の協力者との綿密なコミュニケーションによる進捗共有
・研修当日のトラブルサポート
・eラーニングの登録、受講のサポート
・理解度や習熟度の確認テスト、アンケートの実施
など、事前にやるべきことをチェックリストにまとめると漏れがなく実施ができるでしょう。
流れ⑤:研修報告書の回収
研修報告書は、研修を受けた内容や感想、今後の課題や改善点などをまとめた文書です。研修を受けた社員が自己成長やチームの発展につながるよう、研修報告書は重要な役割を果たします。研修報告書は、研修の成果を上司や関係者に伝えることで、チームの発展につなげると同時に、研修の課題や改善点を洗い出し、今後の研修の質を向上させます。
また、研修報告書を回収することで、研修に参加した全員の研修内容や成果を把握し、研修の課題や改善点を共有して、今後の研修に生かすことができます。研修参加者が研修報告書を提出することで、研修への取り組み姿勢が向上し、研修の成果を上げるために欠かせないものであり、回収することが重要です。
▼研修報告書について詳しい解説はこちら
研修時の適切な服装
研修時の服装は、受講する従業員側も気にするポイントです。あらかじめ適切な服装を管理者側からアナウンスしておくとスムーズな実施ができるでしょう。
研修は通常の業務とは異なりますが、業務の一環であることとは変わりありません。基本的には、社内の研修であれば自社で規定・推奨されている服装、社外の研修であればビジネスカジュアルで参加するのが一般的です。
また、研修の内容によっては座学だけではなく身体を動かすワークが用意されている場合があります。特に社外の事業者に委託している場合は望ましい服装を確認しておくことが無難です。
男性
男性の場合は「ビジネスカジュアル」が指定される場合が多く見受けられます。色はブラックやグレー、ネイビーのような暗めのトーンで落ち着いたものを用意・指定すると良いでしょう。また、基本的にはジャケット、襟付きのシャツ、パンツを着用しておくと社外の人と関わる場合でもマナーが守られている印象を与えるでしょう。
女性
女性は男性に比べてビジネスでのファッションは幅広い傾向があります。研修ではフォーマルな印象を与えるパンツスタイルがおすすめです。色はブラックやネイビー、白、ベージュなどをベースとしたスタイルだと馴染みやすいでしょう。
企業が研修を行う際の成功ポイント
研修を通して目的を達成するためにはいくつか抑えておくと良いポイントがあるため、代表的なものをご紹介します。
ポイント①:段階的に研修を進める
必要になったタイミングでポイントごとに研修を実施する場合もありますが、効果的な学習を促進するためには、「体系化した研修プログラムを段階的に進める」ことが大切です。例えば、応用的な知識やスキルを必要とする内容の研修を、基礎的な知識がないタイミングで実施しても効果が期待できないのと同様に従業員が獲得しやすい順番を考慮することが望ましいでしょう。
企業によってどのような順番で能力を身につけてほしいかは様々ですが、やりがちなこととしては「スキルのみの開発を行う」ということです。先述した人材要件フレームでは、専門的なスキルの受け皿のような役割として「スタンス」や「ポータブルスキル」があります。まずはしっかり基盤となるこれらの開発・育成から始めて段階的に上の方に範囲を広げていくと効果的でしょう。
参考:人材要件フレーム
(モチベーションエンジニアリング研究所,「新入社員時のビジネススタンスと成果の関係」に関する研究結果を公開)
ポイント②:スケジュール管理をする
研修内容や育成したい能力によっては必要な時間がそれぞれ異なります。また、研修が過剰に詰まっていると受講者の疲労が大きくなり、学習効率が低下してしまう可能性があります。
・研修の目的に沿った日数になっているか
・過密または過疎なスケジュールになっていないか
・研修後のフォローも考慮したスケジュールになっているか
・対象者が集中して集まることができる日程か
といったスケジュール管理を徹底することが研修成功の大切なポイントです。
ポイント③:社内研修と社外研修を使い分ける
社内研修は社外研修と比較してコストがかからないことが魅力ではありますが、通常の業務に加えて従業員の研修も担うことになると、きちんと必要性を感じて納得感がない場合は反対や不満を生み出し、受講者に対しても良い影響を与えません。また、研修に関するノウハウも限定されるためかけた時間に対する効果が低くなる可能性もあります。
一方で社外研修では幅広い研修の手法がありますが、スケジュールが限定され、費用もかかります。
それぞれの特徴を考慮した上で、「企業が成長し続けるうえで新たに必要になるスキルの学びなおしはOff-JTで行い、フォローは社内のOJTで行う」など使い分けて実施することが効果的です。
ポイント④:トレーナー側の研修も行う
特にOJTでは、「現場に任せることがOJT」という状態になってしまう場合も見受けられます。上司や先輩といった指導役・トレーナー側は育成の専門家ではありません。加えて、人を育てることは企業全体として課題に挙がるほどであるため、基本的に難しいものです。そのため、しっかりトレーナー側に対しても、
・部下や後輩と関わる際の姿勢を教える
・教え方のコツを伝える
・トレーナー側の相談機会、相談窓口を設置する
などの研修実施やサポート体制の構築が重要です。
ポイント⑤:振り返りの実施をする
学びの定着のためには、振り返りを行うことが重要です。研修内容を思い出して記憶を定着させることはもちろん、研修中に感じた自分の中での変化や日常で思い当たるシーンを言葉にすることでより実践的な学びになります。
また、当日の振り返りだけではなくeラーニングを活用してチェックテストを行ったり、業務の中で研修で学んだことを元に振り返ったりすることも効果的です。
ポイント⑥:外部企業への委託
企業が研修を行う際に外部と協力することには多くの利点があります。例えば、外部の専門家や講師を招いた研修では、企業内にはいない専門知識や経験を共有することができます。これにより、より高度なスキルや知識を身につけ、業務の効率化や品質向上を図ることができます。
さらに、外部の専門家や講師による研修では、最新のトレンドや視点を取り入れることができるため、企業内でのイノベーションや競争力の向上につながると言えます。
また、研修を外部委託をすることで、研修を設計・作成する時間などが削減でき、研修を行っていた部署の負担を省くことが出来ます。
研修に関する助成金はある?
人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
研修に関する助成金として、「人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)」があります。この助成金は、事業主が雇用管理制度(諸手当等制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度(保育事業主のみ))の導入等による雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成されます。
受給するためには、事業主が以下の措置を実施する必要があります:
①雇用管理制度整備計画の認定:雇用管理制度の導入を内容とする雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けること。
②雇用管理制度の導入・実施:雇用管理制度整備計画に基づき、当該雇用管理制度整備計画の実施期間内に、雇用管理制度を導入・実施すること。
③離職率の低下目標の達成:雇用管理制度整備計画期間の終了から1年経過するまでの期間の離職率を、雇用管理制度整備計画を提出する前1年間の離職率よりも、一定の目標値以上に低下させること。
目標達成助成の受給額は57万円です。
ただし、令和4年4月1日より整備計画の受付を休止しており、令和5年度も引き続き休止中です。令和4年度以降は、令和4年3月31日までに計画を提出した申請についてのみ手続が可能となります。
出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)」
人材開発支援助成金
「人材開発支援助成金」についても研修に関する。この助成金は、事業主が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。
助成金には以下の7つのコースがあります:
①人材育成支援コース
②教育訓練休暇等付与コース
③人への投資促進コース
④事業展開等リスキリング支援コース
⑤建設労働者認定訓練コース
⑥建設労働者技能実習コース
⑦障害者職業能力開発コース
それぞれのコースには特定の要件があり、詳細はパンフレットやウェブサイトで確認できます。また、助成金の利用には一部の共通要件もあります。例えば、賃上げや資格手当等の支払いにより賃金を上昇させた事業所は助成額が割増されます。
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」
DX推進に向けた法人研修ならリンクアカデミー
リンクアカデミーは「あなたのキャリアに、本気のパートナーを」をミッションに掲げて個人が「学び」を通じ自らのキャリアを主体的に磨き上げられる場を目指しています。
多様化する個人のキャリアニーズに応えるべく、
・㈱アビバが提供してきたパソコンスキルの講座提供
・大栄教育システム㈱が提供してきた資格取得を支援する講座
・ディーンモルガン㈱が提供してきた「ロゼッタストーン・ラーニングセンター」のマンツーマン英会話レッスン
といったキャリアアップに関するサービスをフルラインナップで展開してきました。
この実績と経験を活かして、
・内定者・新入社員の育成
・生産性向上
・営業力強化
・DX推進
といった幅広い課題に対して、お客様のご状況に合わせた最適なソリューションを提供しています。
独自の「診断技術」によりITスキルを可視化し、課題に合った研修プログラムをご提案
定量的にスキル向上させるなら、リンクアカデミー
⇒ITスキル研修資料をダウンロードする
リンクアカデミーの研修導入事例
・ネットワンシステムズ株式会社様
・東京建物株式会社様
・株式会社フロム・エージャパン様
・株式会社トーコン様
記事まとめ
欧米を中心とした人的資本の情報開示への動きの活発化や、DX化推進に伴う企業のビジネスモデルの変化、そして働き方に対する意識の多様化など、人材育成を取り巻く環境は大きく変化しており、企業経営において人材育成は大きな課題となっています。そのような課題を解決する代表的な手段が研修であり、階層別、業務別、スキル別など開発・育成したい対象や目的も様々です。また、手法としてもOJTやOff-JT、eラーニングといったものがあり、それぞれを組み合わせることで学習効果を高めることができます。企業側は研修手法ごとの特徴を抑えた上で、先々を見越した研修スケジュールを設計・実行することで効果的に研修を通して人材育成を行うことができるでしょう。
研修に関するよくある質問
Q: 研修資料作成のコツはありますか?
A: 研修資料は、簡潔かつ明確に伝えることが重要です。適切なビジュアルを用いて参加者が理解しやすいようにすることが大切です。また、参加者に配布する資料以外にも、プレゼンテーション用の資料や実習用のワークシートなど、研修全体を考えて必要な資料を用意しましょう。
Q: 研修の効果を高めるためにはどうすればいいですか?
A: 研修の前後に参加者のアンケート調査を行い、研修の改善点を把握することが大切です。また、研修後にはフォローアップを行い、研修の成果を確認しましょう。さらに、研修に参加する社員が自己啓発意識を持ち、積極的に参加できるような環境を整えることも重要です。
Q: 研修の参加者数に制限はありますか?
A: 研修の内容や目的によって異なりますが、参加者数が多すぎると、参加者とのコミュニケーションが困難になる場合があります。一般的には、10人から30人程度が適切とされています。ただし、研修の内容や形式によっては、1対1での研修や、少人数でのワークショップ形式も有効です。
Q: 研修期間はどの程度が適切ですか?
A: 研修の内容や目的によって異なりますが、2日から1週間程度が一般的です。研修期間が長すぎると、参加者の集中力が切れる場合があります。また、研修の期間中には、参加者の体調管理や休憩時間の設定も重要です。
Q: 研修の評価方法はありますか?
A: 研修の目的や内容に応じて、参加者のアンケート調査や実習課題の提出など、様々な評価方法があります。目的や内容に合わせた評価方法を選択しましょう。また、研修の評価結果を踏まえて、次回の研修の改善点を明確にすることも重要です。