ファシリテーションとは？意味や役割、やり方、必要なスキルなどをわかりやすく解説

　ビジネスシーンでは、会議やワークショップなどの場で複数の人たちで議論を行うタイミングが多く訪れます。その中で、時間の中で有用な議論を行えるかどうかは、企業経営の生産性に大きく関わります。本記事では、議論をスムーズに進め、その効果を高めることができるファシリテーションについて、その意味ややり方などをご紹介します。

ファシリテーションとは何か

　ファシリテーションは、グループやチームが持つ問題や課題を解決するために、進行やプロセスを支援することを指します。ファシリテーターは、会議やワークショップなどの場で、参加者全員が積極的に議論に参加し、意見を出し合い、最終的に合意形成をするためのプロセスを促進する役割を担います。

　ファシリテーターは、中立的な立場から進行を管理し、参加者たちが問題に集中できるように環境を整えることが重要です。また、ファシリテーターは、参加者たちが自分たちで問題解決をするためのサポートを提供することもあります。

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ファシリテーションの主な目的

　ファシリテーションには、以下のような目的があります。

■参加者全員が積極的に議論に参加し、意見を出し合うことができるようにする
　より多様なアイデアを共有し、より創造的な解決策を見つけることができます。

■参加者たちが意見を尊重し、適切にコミュニケーションをとることができるようにする
　意見の不一致やコミュニケーションの混乱を回避し、円滑なグループワークを実現することができます。

■参加者たちが問題解決に集中し、最終的に合意形成をすることができるようにする
　時間の無駄を省き、生産的なミーティングを実現することができます。

■参加者たちが自分たちで問題解決をするためのサポートを提供する
　グループやチームの自己解決能力を高め、将来的な課題にも対処できるようになります。

■ファシリテーションは、グループのパフォーマンスを向上させる
　ファシリテーションにより課題の発見や対策の立案などがスムーズに進むと、組織全体の成果にも直結させることができます。

ファシリテーションに注目が集まっている背景

　ファシリテーションは、ビジネスや教育、社会活動など、あらゆる分野で活用されています。例えば、新しいアイデアを生み出すためのブレストや、チームビルディングのためのワークショップなどに利用されています。

　最近では、テレワークが増加するなかで、オンラインでのファシリテーションが求められるようになってきています。また、デザイン思考やアジャイル開発など、効果的な問題解決手法としてファシリテーションが取り入れられることが増えています。

　さらに、持続可能な開発や社会的課題解決など、大きな目標を達成するためのグループワークにおいても、ファシリテーションが重要視されています。これらの背景から、ファシリテーションに対する需要は今後も高まることが予想されます。

ファシリテーションを活用するメリット

　ファシリテーションを活用することで、多くのメリットを得ることができます。ファシリテーションのメリットを把握することで、自社での活用方法や効果検証を検討することができるでしょう。ここでは、ファシリテーションのメリットについて、代表的なものをご紹介します。

グループの共通認識を促進することができる

　ファシリテーターは、グループメンバーがアイデアを共有し、議論を進めることを支援する役割を果たします。この支援により、グループメンバーは個人的な観点から問題に取り組むだけでなく、グループ全体の視点を持つことができます。

　グループ全体での共有認識が深められると、目標達成に向けた取り組みがスムーズに進むようになります。

チームビルディングをすることができる

　ファシリテーションは、グループメンバー同士がお互いの意見や考え方をより深く理解し、そこから信頼関係を築くための重要な手段の一つです。このような信頼関係は、チームビルディングにとって非常に重要であり、チームメンバー同士がより良い関係を築くことができます。

　また、ファシリテーションによって、グループメンバーは自分たちで問題解決を行うことができるようになり、自己解決能力が向上します。これは、今後のチーム活動においても非常に役立ちます。

ファシリテーションを活かせる分野

　ファシリテーションは、その多様な応用分野から注目を集めています。

　まず、ビジネス分野においては、新しいビジネスアイデアを生み出すためのブレストや、チームビルディングのためのワークショップなどに利用されています。また、意思決定プロセスの改善や、問題解決力の向上などにもファシリテーションが活用されています。

　教育分野においては、生徒や学生たちが自発的にアイデアを出し合い、協力して学習するための環境づくりに活用されています。また、教員たちは、ファシリテーションの手法を利用して、教育研究のグループワークや、教員間のコミュニケーション改善などに取り組んでいます。

　社会活動分野においては、地域の住民やNPO団体などが、課題解決やコミュニティづくりのためにファシリテーションを活用しています。例えば、地域住民が集まってまちづくりのアイデアを出し合ったり、NPO団体がボランティアの参加者に対して、活動の目的ややり方を説明したりする場合にファシリテーションが利用されています。

ファシリテーターの役割とそれぞれのやり方・ポイント

　ファシリテーターは、1つの会議の中でえも様々な役割を担っています。ここでは、ファシリテーターの役割についてご紹介します。

会議の出発点と到達点を明確化する

　会議が成功するためには、明確な目的設定が必要です。ファシリテーターは、会議の出発点と到達点を明確化し、参加者全員が共通の目標に向かって議論を進めることができるようにサポートします。

　会議の冒頭で、ファシリテーターは目的や議題を説明し、参加者全員が共通の理解を持つようにします。さらに、アジェンダを共有し、各議題についての時間配分などを説明することも重要です。この段階で、参加者から意見を募集し、より深い理解を促すこともできます。

　会議の進行中には、ファシリテーターは、議題から脱線しないように注意しながら、アジェンダに沿って進行していくことが求められます。また、ファシリテーターは、参加者からの質問や意見に対応することで、会議の目的をより深く理解することができます。これによって、参加者全員が会議の目的を共有し、より生産的な議論を進めることができます。

参加者の保有情報や立場を把握する

　ファシリテーターにとって、参加者が持つ情報や立場を把握することは非常に重要です。参加者が議論に参加しやすい環境を整えるためには、その人たちの背景や考え方を理解する必要があります。

　事前に参加者リストを確認し、各参加者の役割や立場、関心事などを把握することが大切です。また、会議の冒頭で、参加者全員に自己紹介をしてもらい、参加者同士が互いの背景や立場を理解することができるようにします。

　さらに、ファシリテーターは、参加者が議論に参加しやすい環境を整えるために、参加者からの意見や質問に対して、適切なフィードバックを与えることも求められます。これによって、参加者全員が議論に積極的に参加し、より生産的な会議を進めることができます。

参加者が発言しやすい環境・雰囲気を作る

　ファシリテーターは、参加者が発言しやすい環境や雰囲気を作ることが求められます。具体的には、参加者全員に平等に発言の機会を与えることや、発言内容に対して肯定的なフィードバックを与えることが重要です。

　会議の進行をスムーズにするために、適切なツールや資料を用意することも必要です。例えば、プレゼン資料やグループディスカッションのためのホワイトボードなどを準備することが求められます。昨今では、社会情勢の変化と共に会議の場がオンラインに移行しつつあります。そのため、画面に投影される共有資料も会議の雰囲気を作る要因の１つとして重要視されています。

　また、ファシリテーターは、参加者が発言しやすい環境を整えるために、参加者同士の意見交換を促すことも大切です。これによって、参加者全員が議論に積極的に参加し、より生産的な会議を進めることができます。

脱線しないよう適宜軌道修正を行う

　会議の進行中には、参加者が脱線して議題から外れることがあります。ファシリテーターは、このような場合には適宜軌道修正を行い、議題に戻すことが求められます。

　具体的には、参加者に議題から外れた内容について、別の機会に話し合うことを提案するなどの方法があります。また、議題から外れた内容については、ファシリテーターがメモを取っておき、後日別の場で話し合うこともできます。

　さらに、ファシリテーターは、参加者が議題に沿って議論を進められるように、適宜アジェンダの変更や時間配分の調整を行うことも求められます。

タイムキーピングを行う

　会議の進行中には、時間配分が重要です。ファシリテーターは、各議題に対して適切な時間を割り当て、会議がスムーズに進行するようにします。また、時間が押している場合には、参加者に時間配分の調整を提案することも重要です。

　さらに、ファシリテーターは、タイムキーピングを行うことで、会議の進行をスムーズにすることができます。

結論付け・合意形成をする

　会議の最後には、結論付けや合意形成が求められます。ファシリテーターは、会議の進行中に各参加者の意見をまとめ、最終的な結論を出すためのサポートを行います。また、合意形成に向けて、各参加者が発言する機会を与えることも重要です。

さらに、ファシリテーターは、最終的な結論が出た後に、参加者全員が理解できるように説明を行うことが求められます。

ファシリテーションに求められるスキル

　ファシリテーションを行うためには、様々なスキルが必要です。ここでは、ファシリテーションに求められるスキルについてご紹介します。

コミュニケーション能力

　ファシリテーションには、参加者とのコミュニケーション能力が求められます。ファシリテーターは、参加者が意見を出し合い、議論を進めるための環境を整えるため、適切なフィードバックを提供したり、意見交換を促進したりすることが必要です。また、参加者が発言しやすい環境や雰囲気を作るために、適切なツールや資料を用意することも大切です。

　ファシリテーターは、参加者とのコミュニケーション能力を持ち、適切なフィードバックやツールを提供することで、会議やワークショップの進行を円滑にし、より深い議論を促進することが求められます。

問題解決能力

　ファシリテーションには、問題解決能力が必要です。ファシリテーターは、議論の中で発生する問題や課題に対して、適切な解決策を提供することが求められます。また、議論の進行中には、参加者からの質問や意見に対応することも必要です。これによって、参加者全員が会議の目的を共有し、より生産的な議論を進めることができます。

　議論が行き詰まった場合については、ファシリテーターはその議論が活発化するような観点や議論のポイントを提供することが求められます。そのため、高度な専門知識がなくても、何が議論のネックになっているのかを見極める能力が必要です。

　そのためにも、出た意見をまとめ、加えて共通点や相違点を抽出することもファシリテーションの一環として重要になってきます。

チームビルディング能力

　ファシリテーションには、チームビルディング能力が必要です。ファシリテーターは、参加者同士がお互いの意見や考え方をより深く理解し、そこから信頼関係を築くための重要な手段の一つとして、ファシリテーションを活用します。

　ファシリテーターは、参加者が自分たちのアイデアをより多く出し合えるように、適切な問いかけを行います。このような問いかけは、参加者が意見を出しやすくなるように導くことができます。また、グループメンバー同士が問題解決を行うことができるようにサポートし、自己解決能力を向上させることも求められます。

　ファシリテーターは、参加者同士が関係性を築くことができるように、グループの雰囲気を和やかに保ちつつ、会話を促進するスキルが必要です。

タイムマネジメント能力

　ファシリテーションは、会議の円滑な進行を確実にするために、タイムマネジメント能力が必要不可欠です。ファシリテーターは、各議題に対して適切な時間を割り当て、議論がスムーズに進行するように調整します。

　しかし、タイムマネジメントはただ時間を調整するだけではありません。会議が進行する中で、参加者が議論に没頭している場合、時間が押していることに気づかないことがあります。そのため、ファシリテーターは参加者に時間配分の調整を提案し、議論がスムーズに進むように指導することが必要です。

　また、会議の進行中にアジェンダの変更や時間配分の調整を行うことで、より生産的な議論を進めることができます。

（こちらもチェック：「ヒューマンスキルとは？構成要素の一覧・注目される理由・高める方法を解説」）

ファシリテーションの成功事例

　ファシリテーションを活用することで、会議やワークショップの効果を高めることができます。ここでは、ファシリテーションが効果を発揮するケースをご紹介します。

会議の場合

　新商品の開発を目的とした会議を行うケースについて考えます。この会議では、参加者が自由に意見を出し合い、アイデアを共有することが求められます。しかし、参加者が多い場合には、議論が脱線することもあります。その中で、ファシリテーターは以下のような方法を用いることで、会議を成功に導くことができます。

1. 議題に対するアイデアを共有する
　参加者に対して、新商品に求められる要素や、市場の需要について話し合うように促します。これによって、議題に関する意見が出され、参加者同士が意見を共有することができます。

2. グループワークを行う
　参加者をグループに分け、新商品の開発に必要な要素を整理するように指示します。このグループワークによって、参加者同士が協力し、より深い議論を行うことができます。

3. フォローアップを行う
　議論が終わった後、ファシリテーターは参加者に対して、フォローアップを行うことで会議で定めたアクションの実行度を高めることができます。具体的には、アイデアをまとめた報告書を作成し、参加者に送付します。また、次回の会議で話し合う内容についても、前もって告知することで、参加者が準備をすることができます。

　このように、会議ではファシリテーターが重要な役割を果たします。ファシリテーターは、参加者同士が意見を出し合い、より深い議論を行うことができるように、適切なツールや資料を提供することが必要です。また、参加者が議論に没頭する中で、時間が押していることに気づかないことがあります。

　そのため、ファシリテーターは参加者に時間配分の調整を提案し、議論がスムーズに進むように指導することが必要です。最終的に、ファシリテーターは議論をまとめ、次のアクションにつなげることが求められます。

ワークショップの場合

　新しいマーケティング戦略を開発するためのワークショップを行う場合で、ファシリテーションの効果が発揮されるケースを考えます。このワークショップでは、参加者が自分たちの意見を出し合い、共有することが求められます。ファシリテーターは以下のような方法を用いて、ワークショップを成功に導くことができます。

1. カードゲームを利用する
　参加者に対して、新しいマーケティング戦略に必要な要素を書いたカードを配布します。その後、参加者同士がカードを交換しながら、新しい戦略に必要な要素を整理するように促します。

2. グループワークを行う
　参加者をグループに分け、それぞれのグループで新しい戦略に必要な要素を整理するように指示します。このグループワークによって、参加者同士が協力し、より深い議論を行うことができます。

3. プレゼンテーションを行う
　各グループがまとめた要素を、プレゼンテーション形式で発表するように指示します。このプレゼンテーションによって、参加者同士が意見を共有し、新しいマーケティング戦略の開発につながります。

　参加者が多く、議論が脱線することがある場合には、ファシリテーターはグループ分けをすることで、より深い議論を促すことができます。また、参加者が新しいアイデアを出しにくい場合には、アイデアボードやアイデアカードを用いることで、アイデアの共有を促すことができます。

　さらに、議論が難航した場合には、ワークショップの進行に沿って、議論を整理することが必要です。ファシリテーターは、参加者に対して議論の進行状況を説明し、次のステップに進むように促すことが求められます。

ファシリテーションについて勉強する方法

　ファシリテーションについて勉強する方法は以下の通りです。

■関連書籍の読書
　ファシリテーションに関する書籍を読むことで、理論的な知識を得ることができます。また、実践的なアイデアやヒントを得ることができるため、ファシリテーションのスキルアップに役立ちます。

■実践的なトレーニング
　ファシリテーションには、実践的なトレーニングが必要です。ファシリテーションに携わっている人や、トレーニングを提供している人から指導を受けることで、実践的なスキルを磨くことができます。

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　ここまで、ファシリテーションについて触れてきました。複数人で協力して何かに取り組む際には、必ず会議といった共有の場が必要になります。ひたすらにブレストを行う場も時には重要ですが、要所要所にて意見の整理や会議そのものの整理運営が必要になっていきます。

　ファシリテーションとは、会議の生産性を最大化するためにも重要なスキルに当たります。その役割を担うファシリテーターは、会議などの場において、参加者の意見を引き出し、議論をまとめることが求められます。

　さて、昨今では、会議形態がリアルからオンラインに変化した場面も多くあるのではないでしょうか。コミュニケーションを筆頭に、ファシリテーターに求められることもこれまでとは変化しています。

　例えば、資料に関しても、紙媒体で手渡していたこれまでとは異なり、皆の画面の前に投影する形で会議は進んでいきます。そのため、内容の伝え方、構成など時代に合った資料作成や意見の管理方法が重要になっていきます。

　弊社リンクアカデミーは、DXやリスキリングが叫ばれるようになった頃を境に、業界・規模問わずお問い合わせが急増し、弊社でも、ご要望に合わせたコンテンツも日々拡充し続けております。

　ファシリテーションによって会議の生産性を向上するなどの実務に則したスキルの習得に加え、DX/リスキリング文脈での施策設計のポイント・ノウハウも有しておりますので、ご興味のある方は是非以下よりお問い合わせ下さい。

ファシリテーションに関するよくある質問

Q1：ファシリテーションとはどういう意味ですか？

A1：ファシリテーションとは、会議やワークショップなどのグループディスカッションを円滑に進めるために、参加者の意見を引き出し、議論をまとめるための手法です。

Q2：ファシリテーションに必要なスキルは何ですか？

A2：ファシリテーションに必要なスキルには、以下のようなものがあります。

■コミュニケーション能力
　ファシリテーターは、参加者が意見を出し合い、議論を進めるための環境を整えるため、適切なフィードバックを提供したり、意見交換を促進したりすることが必要です。

■問題解決能力
　ファシリテーターは、議論の中で発生する問題や課題に対して、適切な解決策を提供することが求められます。

■チームビルディング能力
　ファシリテーターは、参加者同士がお互いの意見や考え方をより深く理解し、そこから信頼関係を築くための重要な手段の一つとして、ファシリテーションを活用します。

■タイムマネジメント能力
　ファシリテーターは、各議題に対して適切な時間を割り当て、議論がスムーズに進行するように調整します。

Q3：ファシリテーションのメリットは何ですか？

A3：ファシリテーションのメリットは、以下の通りです。

■参加者同士が意見を出し合い、より深い議論を行うことができる。
■参加者同士がお互いの考え方を理解し、信頼関係を築くことができる。
■アイデアの多様性を促し、より創造的な解決策を導き出すことができる。
■会議やワークショップの進行をスムーズにし、生産性を向上させることができる。

まとめ

　ファシリテーションは、グループディスカッションを円滑に進めるための手法であり、参加者の意見を引き出し、議論をまとめることが求められます。ファシリテーションに必要なスキルには、コミュニケーション能力、問題解決能力、チームビルディング能力、タイムマネジメント能力などがあります。

　ファシリテーションのメリットには、参加者同士が意見を出し合い、より深い議論を行うことができること、アイデアの多様性を促し、より創造的な解決策を導き出すことができることなどがあります。ファシリテーションについて学ぶ方法には、関連書籍の読書、実践的なトレーニングなどがあります。