ファシリテーターとは?司会との違いや求められる役割とは
目次[非表示]
- 1.ファシリテーターとは何か
- 1.1.ファシリテーターと司会の違いとは
- 1.2.ファシリテーターとネゴシエーターの違いとは
- 1.3.ファシリテーションについて
- 2.ファシリテーターの目的と役割
- 3.ファシリテーターが注目される背景
- 4.ファシリテーターに求められるスキルは?
- 4.1.議事進行をするスキル
- 4.2.参加者の意見を引き出すスキル
- 4.3.意見を取りまとめて結論に導くスキル
- 4.4.タイムコントロールをするスキル
- 5.ファシリテーターに必要な準備とは
- 5.1.会議や研修のゴールを明確にする
- 5.2.会議や研修の内容を決めておく
- 5.3.会議や研修のシミュレーションを行う
- 6.ファシリテーターとしての具体的な会議の進め方
- 6.1.アイスブレイクをする
- 6.2.グラウンドルールを共有する
- 6.3.目的や議題を確認する
- 6.4.ブレインストーミングをする
- 6.5.アイデアや意見を整理する
- 6.6.合意形成を促進する
- 7.ファシリテーターによるメリット
- 7.1.会議のゴールがブレなくなる
- 7.2.発言がしやすくなる
- 7.3.新しいアイデアが生まれやすくなる
- 7.4.全体の合意形成を行いやすくなる
- 7.5.タイムコントロールがしやすくなる
- 8.ファシリテーターによるデメリット
- 9.ファシリテーターになるには?
- 10.ファシリテーター研修について
- 11.法人研修ならリンクアカデミー
- 12.記事まとめ
- 13.ファシリテーターに関するよくある質問
ビジネスシーンでは、日々多くの会議や研修などが行われています。一方で、多くの企業で会議や研修の場での生産性や効果の向上が課題となっており、「非効率な会議」が生じている場合もあります。ファシリテーターを活用することで、会議や研修をより効果的に進行することができることが期待されます。本記事では、会議や研修の効果を高めるファシリテーターの基本的な知識、司会との違いやその役割などをご紹介します。
ファシリテーターとは何か
ファシリテーターとは、会議やミーティングでその場の進行(ファシリテーション)を担う人のことを指します。日本では主に会議や研修の場などで、ファシリテーションスキルを活用することで全体の進行を円滑にする役割を持っている人をファシリテーターと呼んでいます。
ファシリテーターは基本的に中立的な立場であり、誰かに味方をするということはありません。必要に応じて議論に介入する場合もありますが、多くは参加者の議論を活発にして意見をまとめるための存在です。ファシリテーターが会議や研修に参加することで、全体の議論を効果的に進めて、その場の目的を達成しやすくなるでしょう。
ファシリテーターと司会の違いとは
ファシリテーターとよく混同される役割の1つとして、「司会」があります。会議や研修などを円滑に進行するための役割である点では、ファシリテーターと司会は同じですが、司会はあくまで「会議を進行すること」自体が役割となっています。司会はあらかじめ決められたプログラムや会議の議題を進めるのに対して、ファシリテーターは適宜参加者への問いかけや発言を求めることなどを通して、意見を引き出してまとめるという点で両者は異なります。
ファシリテーターとネゴシエーターの違いとは
ネゴシエーターとは、ネゴシエーション(交渉)を行う人のことを指します。ネゴシエーターは交渉相手とコミュニケーションを取りながら、ある一定の目的や内容・方法などに対して合意を得ることを役割としています。
ネゴシエーターの存在により、お互いの意見を集約することはできますが、基本的にネゴシエーターは「交渉の中でお互いの合意を得ること」を目的としているため、ファシリテーターとはその目的が異なると言えるでしょう。
ファシリテーションについて
ファシリテーターはファシリテーションスキルを活用して、会議の進行を行うとご紹介しました。そもそも「ファシリテーション」とは、「円滑にすること」「便利にすること」といった意味を持つ「facilitation」から来ている言葉です。ビジネスシーンでは特に、下記の内容がファシリテーションに該当します。
■参加者と会議の目的をすり合わせる
■参加者から意見を引き出す
■出てきた意見を整理してまとめる
■参加者同士での共通認識を確認する
■会議のゴールや結論に対する合意形成を行う
▼ファシリテーションについての詳しい解説はこちら:
ファシリテーターの目的と役割
ファシリテーターを置く目的としては、「会議のゴールに向けて効率的に進行する」「会議や研修のクオリティを向上させる」といったものが挙げられます。様々な意見から新しいアイデアを創出し、問題解決に導くことや、参加者に対して新しい気づきを与えることなどもファシリテーターの役割だと言えます。そのため、ファシリテーターには次のようなことが求められます。
■会議や研修のゴール、目的に沿って進行内容を決める
■参加者の特徴や役割、仕事内容などの情報を事前に把握する
■参加者に会議や研修で取り組む内容を分かりやすく伝達する
■参加者から満遍なく意見を引き出す
■会議や研修全体の時間配分やタイムコントロールを行う
■参加者同士の関係性や会議全体の雰囲気を把握し、適切な関わり方をする
一方で、会議や研修の主役・主体はあくまで参加者の人たちです。そのため、ファシリテーターは自分がメインとなって発言や意見をするのではなく、サポート役として参加者の意見を尊重します。
ファシリテーターが注目される背景
ファシリテーターが注目されるようになった背景として、会議の進行のみを行う司会だけでは会議の生産性を向上し切れないといったことがあります。会議を時間通りに進行することは大切ですが、実際に参加者が自身の意見を共有したり、提案したりすることが少なければ、会議で期待していた成果をあげることは難しいでしょう。
そこで、適宜議論に介入しつつ、円滑に進行をして会議をゴールへと導くファシリテーターがより良い会議の実現のために注目されました。
ファシリテーターに求められるスキルは?
議事進行をするスキル
ファシリテーターは会議を最後まで進行することが求められます。会議の全体像を把握してスムーズに進行するためには会議の目的を明確にして、どのように進めるのかといった段取りを決めておかなければいけません。段取りが不十分である場合には、参加者は今何をすればいいのかが不明確になってしまい、求めている意見が出てこなくなる可能性があります。
全体のゴールや各議題で最低限行うことを決めておき、会議の中でも参加者と共通認識を取ることができるようにしましょう。
参加者の意見を引き出すスキル
ファシリテーターが参加者から意見を引き出すことで、会議の中での議論が活発になり、新しいアイデアが生まれやすくなります。そのため、ファシリテーターには意見を求めて引き出すスキルが必要になります。意見を引き出す際には、Yes / Noで答えることができる「クローズドクエスチョン」と自由に考えて答えることができる「オープンクエスチョン」を使い分けると効果的です。
意見を取りまとめて結論に導くスキル
会議は大きく分けて「発散」と「収束」の2段階で構成されています。発散とは、それぞれができるだけ多くの意見を出して、考えるための材料を揃えることです。また、収束とは出てきた意見を集約して、最終的な結論を出すことを指します。先述した「参加者の意見を引き出すスキル」はこの中で発散を行うためのスキルであり、収束を行うスキルも必要です。
収束を行うためには、意見の共通点や相違点を明確にして目的と合致するポイントを抽出することが大切です。出てきた意見を書き出すなど検討しやすくなる工夫をしましょう。
タイムコントロールをするスキル
タイムコントロールも、ファシリテーターに求められる大切なスキルです。タイムコントロールができていないと、意見を述べる時間に偏りが生じたり、会議の進行が遅れたりするといった問題が生じます。会議のゴールに沿って、「今議論をすべきこと」と「今後の検討事項として残しておいて良いこと」を分けて優先順位を付けると、タイムコントロールがしやすくなります。
ファシリテーターに必要な準備とは
会議や研修のゴールを明確にする
ファシリテーターに必要な準備として、まずは「会議や研修のゴールを明確にする」ということが挙げられます。闇雲に参加者に意見を聞くのではなく、「この会議や研修でどのような成果を得たいのか」や「会議や研修にどのようなことが求められているのか」といったゴールを考えましょう。必要に応じて、上司や経営陣に確認を取ることでより良いゴール設定を行うことができます。
会議や研修の内容を決めておく
会議や研修のゴールが明確になったら、それを実現するためにはどのような内容が適しているかを考えます。参加者と一緒に議論する議題や、現状の課題、参加者に投げかける質問といったことをあらかじめ決めておきましょう。また、この際にはグループワークやグループディスカッションを取り入れるかやどこに休憩を入れるかなども検討し、それぞれの時間配分も設定しておくことが大切です。
一度全体の内容が決まった後に、第三者に確認してもらうと無理のない内容になっているかが分かりやすくなります。
会議や研修のシミュレーションを行う
会議や研修の内容まで決まったら、当日スムーズに進行するためのシミュレーションを行います。あらかじめシミュレーションを行っておくことで、当日に向けて準備しておくべきことを再確認することができます。特に、プロジェクターやスクリーンなどの機材を使用する際には、きちんと使えるかを確認しておくことが大切です。
また、シミュレーションを行ったとしても当日にはトラブルや問題は発生しうるものです。シミュレーションの中で、起こりそうなことをあらかじめ確認しておくと、当日焦ることが少なくなるでしょう。
ファシリテーターとしての具体的な会議の進め方
ファシリテーターとして会議やミーティングの場を進める際には、いくつかのポイントがあります。ここでは、ファシリテーターとして会議を進める際に大切なポイントや具体的な進め方とその概要をご紹介します。
アイスブレイクをする
ファシリテーションを始める前に、参加者同士の緊張をほぐすためにアイスブレイクを行います。アイスブレイクは、簡単な自己紹介や軽いゲームを行うことで、参加者同士が打ち解けることを目的としています。
グラウンドルールを共有する
ファシリテーションを円滑に進めるためには、参加者が共通のルールやマナーを理解し、遵守する必要があります。グラウンドルールは、例えば話し合いの進め方や参加者同士のコミュニケーション方法などを定めることで、円滑な議論を進めることができるようにします。
目的や議題を確認する
ファシリテーションの目的や議題を明確にすることは、議論を進める上で非常に重要です。ファシリテーターは、参加者全員が共有することができるように、そもそものミーティングの目的や議題を明確にし、方向性を示します。
ブレインストーミングをする
ブレインストーミングは、参加者全員が自由にアイデアを出し合い、多様な視点からの意見を集めることができます。ファシリテーターは、アイデアを出しやすい環境を整え、参加者が自由に意見を出し合うことを促します。
アイデアや意見を整理する
ブレインストーミングで出たアイデアや意見を整理し、重要なポイントをまとめます。ファシリテーターは、アイデアの重複や重要性を評価し、グループにとって最も重要なアイデアを抽出するためのフレームワークを提供します。
合意形成を促進する
参加者同士が議論を進め、最終的に合意形成に至るように指導します。ファシリテーターは、異なる意見や価値観がある場合でも、参加者同士がお互いを尊重し、共通の目標に向けて協力することができるようにサポートします。
ファシリテーターによるメリット
会議のゴールがブレなくなる
議論が進んでいく中では、時折元々のゴールから話の内容が逸れていってしまうことがあります。ファシリテーターが会議にいることで、適宜ゴールに立ち戻ることができるようになり、ゴールから離れすぎた議論が続くことを防ぐことができるでしょう。
発言がしやすくなる
参加者によっては、「話しすぎる」「意見が出てこない」といった偏りが生じることがあります。ファシリテーターが存在することにより、参加者それぞれに意見を求めることができるようになります。「それぞれが発言をする」といった雰囲気が生まれることで、参加者は自身の考えを述べることができるようになるでしょう。
新しいアイデアが生まれやすくなる
ファシリテーターが会議にいることで、様々な意見や提案が発言されやすくなります。そのため、自分だけの考えだけではなく、多くの意見を取り入れながら議論を進めることができるようになり、結果として新しいアイデアが生まれやすくなります。
全体の合意形成を行いやすくなる
ファシリテーターは参加者から意見を引き出すと共に、出てきた意見の趣旨や内容を整理してまとめることも行います。そのため、集約された意見を参加者で確認して最終的な結論を導きやすくなります。
タイムコントロールがしやすくなる
ファシリテーターは全体の流れや進行管理を行いながら、議論を適宜まとめて次に進めることも役割として担っています。そのため、ファシリテーターが存在すると、会議が無駄に長引いてしまうことを防ぐことができます。
ファシリテーターによるデメリット
議論の内容がファシリテーターのスキルに依存する
ファシリテーターによるデメリットとして、「議論の内容がファシリテーターのスキルに依存する」ということが挙げられます。ファシリテーターのファシリテーションスキルに沿って会議や研修は進行するため、ファシリテーターの経験が浅い場合やスキルが身についていない場合には、円滑な進行ができないことがあります。
ファシリテーターへの負担が大きくなる
ファシリテーターは会議全体の取りまとめを行うため、会議や研修に参加する人数が多くなるとその負担は増えていきます。人数が3人の場合と30人の場合では、気を配る関係性の数や引き出す意見の数、意見をまとめる難易度などが増していきます。人数規模が多くなる場合には、参加者の見直しやグループに分けて複数のファシリテーターを用意するなどの工夫が必要になるでしょう。
ファシリテーターになるには?
ファシリテーターになるためには、定められた時間の中で、課題解決のために客観的に物事をとらえ整理する論理的思考力や、メンバーの意見を適切にまとめる力などが求められます。こういったスキルを学ぶためには、以下のステップを踏むことがおすすめです。
■ファシリテーションについて学ぶ
ファシリテーションについて学び、テクニックやフレームワークを理解することが重要です。書籍やオンラインコースなどから学ぶことができます。
■経験を積む
ファシリテーションの経験を積むことが、スキルアップにつながります。まずは、友達や同僚など身近な人たちを集めて、ミーティングやワークショップを主催してみることから始めてみましょう。
また、多くの情報を整理して課題解決のために思考をするスキルは、会議の場以外でも意識することで鍛えることができます。例えば、会議で必要な資料を作成する際も、目的に応じて情報を取捨選択し、適切な形で図式化することで、スキルを磨くことができます。
■フィードバックを受ける
ファシリテーションのスキルアップには、フィードバックを受けることが重要です。参加者からのフィードバックを積極的に取り入れ、改善点を見つけるようにしましょう。
■プロフェッショナルなトレーニングを受ける
ファシリテーションのスキルアップには、プロフェッショナルなトレーニングを受けることもおすすめです。ファシリテーションを専門に行うトレーニング機関やコースがあるので、興味がある場合は参加してみましょう。
ファシリテーター研修について
ファシリテーターとして必要なスキルは、物事を深く考える思考力、参加者の話をまとめ論理的に物事を組み立てる力、最終的な合意形成に向けたメッセージの発信など、多岐にわたります。これらのスキルを向上させるための準備を、実際にファシリテーションをする前に研修の形で実施することも考えてみてはいかがでしょうか。
コロナを期に様々な会議がオンラインで実施されるようになったことで、これまでは対面で会議を行い、紙とペンを使ったアナログな方法で最終的な報告資料への落とし込みをしていたところから、パソコン画面上でのメモや最終的な発表資料をPowerPointなどを使ってまとめる必要が出てきたというお声も多くいただいております。
そもそもの思考力や相手に伝わる資料の作成のためのパソコンスキルを鍛えるために、本を読むことやeラーニングを活用することは手段の一つになるでしょう。しかし、それだと仕事以外の時間で別途インプットの時間を取る必要があり、なかなか学習が進まないことや、知識のインプットに留まってしまいなかなか実践の場では活用できている実感が沸かないという声もよく挙がります。
そこで考えていただきたいのが、これらの思考力や伝える力の向上、メッセージを効果的に伝える・魅せるためのパソコンスキルを身に着ける場を企業主体で準備することです。これらのスキルを強化することはファシリテーターとしてのスキル向上だけでなく、日常的にも様々な場面でメリットがあるのではないでしょうか。
法人研修ならリンクアカデミー
リンクアカデミーは「あなたのキャリアに、本気のパートナーを」をミッションに掲げて個人が「学び」を通じ自らのキャリアを磨き上げられる場を目指しています。
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※更新日:2022/11/24
記事まとめ
ファシリテーターとは、ファシリテーションスキルを活用して会議や研修を円滑に進行する人のことを指します。ファシリテーターを活用することで、参加者から意見を引き出しやすくなり、結論や合意形成まで全体を導くことができるようになります。そのため、ファシリテーターには参加者から意見を引き出すスキルや、時間内に意見を集約して結論を出すスキルが求められます。事前の準備をしっかりと行い、より有意義な会議や研修を行えるようにしましょう。
ファシリテーターに関するよくある質問
Q1:ファシリテーターとは何?
A1: ファシリテーターは、「物事の進行を促進する人物」や「目標達成のためのサポートをする人物」といった意味を持つ英語である、「facilitator」を日本語に直したものです。日本では主に会議や研修の場などで、ファシリテーションスキルを活用することで全体の進行を円滑にする役割を持っている人をファシリテーターと呼んでいます。
ファシリテーターは基本的に中立的な立場であり、誰かに味方をするということはありません。必要に応じて議論に介入する場合もありますが、多くは参加者の議論を活発にして意見をまとめるための存在です。ファシリテーターが会議や研修に参加することで、全体の議論を効果的に進めて、その場の目的を達成しやすくなるでしょう。
Q2:ファシリテーターの注意点は?
A2: ファシリテーターは参加者の意見を引き出し、会議を効率的にゴールに導く役割です。そのため、あくまで中立的な立場としてファシリテーションを行うということに注意が必要です。議論が滞った際には、適宜介入して議論を活発化させることは必要ですが、積極的に自分の意見を結論に反映させようとする姿勢は望ましくありません。
また、会議の中で参加者から意見を引き出すためには、事前の段取りや当日のタイムコントロールなどにも注意しておきましょう。