キャリア研修とは?目的や実施のステップ、年代別おすすめプログラムなど
目次[非表示]
- 1.キャリア研修とは?
- 1.1.キャリア研修は必要か?
- 1.2.キャリア研修を行っている企業の割合
- 2.キャリア研修の目的
- 3.キャリア研修を行うメリット
- 3.1.メリット①:会社への信頼が向上する
- 3.2.メリット②:従業員の主体性が向上する
- 3.3.メリット③:新しいキャリアが生まれる
- 4.キャリア研修の設計~実施するまでのステップ
- 4.1.①社内での調査を実施する
- 4.2.②目的やゴールを設定する
- 4.3.③対象者を決める
- 4.4.④プログラムを作る
- 4.5.⑤対象者に告知をする
- 4.6.⑥運営の役割や流れを確認する
- 5.効果的なキャリア研修にするには?
- 6.【年代別】キャリア研修のおすすめプログラム
- 7.キャリア研修なら、リンクアカデミーにおまかせ
- 8.記事まとめ
人生100年時代と言われている現代では、より一層キャリア形成やキャリアステップなどへの注目が集まっています。個人それぞれが自身のキャリアを考えることは大切ですが、企業においても従業員のキャリア形成をサポートすることでより会社でやるべき事や働く理由が明確になります。その方法の1つとして「キャリア研修」は代表的なものとして挙げられます。
本記事ではキャリア研修の目的やメリット、設計〜実行までのポイントをご紹介します。
キャリア研修とは?
元々「キャリア」とは「経歴」や「職業」、「職歴」を意味する「career」という英単語を元にしています。主に仕事における経験や経歴、資格などを指していますが、より広い意味で人生経験・生涯を指す言葉としても使われます。
キャリア研修とは、
・今までどのような経験や職歴を経てきたか
・その中でどのようなスキルやマインドを身につけてきたか
・今後どのようなキャリアを形成していきたいか
・具体的に実現する方法は何か
などの自身のキャリアに関する棚卸し・整理と目標設定を行う研修です。ここで、「単純に経験してきた役職や役割を洗い出す」だけではなく、「その経験の中でどのようなことができるようになったのか、どのような視点を身につけたのか」といったスキルやマインドという部分まで整理することが大切です。
※2022/08/10
キャリア研修は必要か?
現在は社会やビジネスにおいて環境変化が激しくなっており、「VUCAの時代」とも言われています。VUCAとは、
・Volatility:変動性
・Uncertainty:不確実性
・Complexity:複雑性
・Ambiguity:曖昧性
といった英単語の頭文字をとった言葉であり、不確定で流動的な時代を表す言葉です。その時代の中では企業もより一層柔軟な経営を行う必要があり、「自発的に考え、行動する人材」の重要性が高まっています。自発的に考えて行動するためには、自社の理念や方針を理解する事と共に受け身ではなく自分なりの判断軸を持っていることが大切です。
そのためにはしっかりと自身のキャリアを自立的に考え続けることが必要なため、それをサポートするキャリア研修を行うことで企業が発展する力も蓄えられていくでしょう。
キャリア研修を行っている企業の割合
では、実際にキャリア研修はどの程度の企業で行われているのでしょうか。厚生労働省が2022年6月に発表した「令和3年度「能力開発基本調査」」では調査対象企業・事業所の内70.4%が「通常業務とは異なる研修(Off-JT)を実施した」と回答しています。また、「キャリア形成に関する研修」については、
・実施した:26.0%
・今後実施したい:28.1%
であり、合わせて54.1%の企業・事業所がキャリア研修の実施を検討しています。
参考:厚生労働省「令和3年度「能力開発基本調査」」
また、キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所は42.3%であり、従業員規模が1000人以上の企業では6割以上がキャリアコンサルティングを通してキャリア形成をサポートしていることが分かります。
参考:厚生労働省「令和3年度「能力開発基本調査」」
※更新日:2022/11/24
キャリア研修の目的
キャリア研修を行う目的として、主に下記のようなものが挙げられます。
会社から求められていることを認識してもらう
従業員が自身のキャリアについて考えていない状態が続くと、「会社が求めていること」と「従業員が求められていると感じていること」にズレが生じます。ズレを放置していると従業員は自社の評価や方針への不満が高まり、業務へのモチベーションや会社へのエンゲージメントが低下してしまうことがあります。キャリア研修によって自身の環境や役割を改めて考えることで、何を求められているかを再認識することができるでしょう。
従業員に将来像や目標をイメージしてもらう
日々の業務を遂行している中では、機会が無いと将来像や目標を考えられないことも多いでしょう。キャリア研修を実施することでしっかりと人生やキャリアをイメージしてもらい、会社の中でどのような成長やキャリアアップをしていくかを明確にすることができます。
キャリア研修を行うメリット
キャリア研修は企業、従業員の双方に大きなメリットがあります。
メリット①:会社への信頼が向上する
従業員にとって自身のキャリアを支援されることはとても大きいメリットです。そのため、キャリア研修を企業が実施・サポートすることで「この会社は自分達のことをしっかりと考えてくれている」という気持ちが芽生え、会社への信頼や愛着心などのエンゲージメントが向上することが期待できます。
また、社内の従業員からの信頼に加えて、社外の顧客・求人への応募者に対しても「従業員のキャリア・人生をサポートしてくれる企業」というイメージが付くことで自社のブランド価値も向上するでしょう。
メリット②:従業員の主体性が向上する
研修を通して自身のキャリアを整理し、目標を定めることで目の前の業務への意味を感じやすくなります。また、「どういう行動が求められているか」「自分のキャリアイメージを実現するためにはどのような成果を出せばいいか」といった考えが生まれることで、指示待ちではなく主体的に仕事をする姿勢が身につくことが期待できます。
メリット③:新しいキャリアが生まれる
漠然とした社内でのキャリアイメージを想像するのではなく、しっかりと自分の希望や会社の方針を合わせて考えることでキャリアを具体的なものに落とし込むことができます。その過程で「こういうことがやりたい」「こういう役割はできないか」という議論が生まれると、それまであまり注目されていなかったキャリアや新しいキャリアが生まれる可能性があります。
既存のキャリアに加えて新しいキャリアを選ぶことができれば、従業員は自社内でのキャリアの広がりに対して魅力を感じやすくなるでしょう。
キャリア研修の設計~実施するまでのステップ
では、実際にキャリア研修はどのように設計・実施すれば良いのでしょうか。設計〜実施するまでのステップを確認していきましょう。
①社内での調査を実施する
「キャリア研修」といっても、具体的にキャリアに関してどのような課題があるかを把握することが必要です。社内アンケートや診断ツールなどを活用することで、
・そもそもキャリアに対する認識が薄い
・ある程度のキャリアイメージはあるが、達成方法が見えていない
・自社内でのキャリアステップが不透明になっている
など、どの部分が課題になっているかを整理しましょう。
②目的やゴールを設定する
調査を実施した後は、従業員の感じている状況や自社の目指す方向性を併せて、キャリア研修を実施する目的・ゴールを設定しましょう。具体的に受講者が研修を通してどのような状態になってほしいかをイメージすることが大切です。
③対象者を決める
自社内でのキャリアに関する課題や目指す方向性が定まったら、どのように対象者を区分けするかを決定します。年代別に区分けするのがオーソドックスな方法ですが、等級やグレード、職種でも分けることができます。
④プログラムを作る
実際にキャリア研修で実施する内容を作ります。ある程度ノウハウがある場合は自社内でも作成することができますが、プログラム作成の負担や効果を加味して適宜外部のサービスを活用することも検討しましょう。
⑤対象者に告知をする
何も告知をせずにいきなり実施を決めてしまうと、従業員に不信感や疑問が生じる可能性があります。特に初めてキャリア研修を実施する場合には、目的や従業員にとってのメリットを伝えることが大切です。
⑥運営の役割や流れを確認する
研修当日は予定外のことも起こる可能性があります。スムーズに運営するために、講師やサポートスタッフ、緊急連絡先などの役割を決めておきましょう。また、関係者は事前に当日の流れの共通認識をとる時間を設けることも忘れないようにしましょう。
※更新日:2022/07/29
効果的なキャリア研修にするには?
自身のキャリア戦略を具体性をもってイメージさせる
キャリア研修においては、これまでの自身のキャリアを棚卸しする機会を作るだけではなく、今後の人生をどのように過ごしていきたいか、という未来の自分をどれだけ具体的にイメージ出来るかが重要です。また前述したようなVUCAの時代において自立的なキャリアを実現するために、戦略的に必要なスキル等を具体的にすることも同時並行で重要です。
必要なスキルに関しては、下図の弊社のグループ会社である株式会社リンクアンドモチベーションが経済産業省より受託した平成17年度「社会人基礎力に関する調査」を通して、要件定義をした下図の「人材要件フレーム」を元に整理させていただきます。
参考:人材要件フレーム
(モチベーションエンジニアリング研究所,「新入社員時のビジネススタンスと成果の関係」に関する研究結果を公開)
それぞれの描く理想のキャリアにとって必要なスキルを、後天獲得可能性に沿って整理させることや自社や自部署で身につけられるスキルを予め定義することで、受講者が自身の未来を具体的にイメージできるキャリア研修になるでしょう。
それぞれのキャリア形成の個別性を理解する
特に人材要件フレームにおけるリテラシー・テクニカルスキルの教育は個別性を意識することが大切です。企業によって従業員に求めるスキルや専門性は異なると同時に、リテラシー・テクニカルスキルは同じ年代や役職でも個人ごとに保有能力に差異が生じやすいからです。そのためには、個々人のスキルレベルを詳細に把握し、そのレベルに応じた教育機会をデザインする必要があります。
実行性高いアフターフォロー体制を整える
キャリア研修は「やりっぱなし」になってしまうと効果が薄れてしまいます。研修実施後にも定期的に受講者で集まって進捗共有をしたり、人事との面談機会を設けたりすることでより継続的な効果を生み出すことができるでしょう。
【年代別】キャリア研修のおすすめプログラム
一般的にキャリア研修は年代ごとに実施されます。各年代でテーマになりうることと、プログラムの例をご紹介します。
20代・30代向け
20代は日々の業務や先輩・上司との関わりの中で少しずつ会社自体に慣れていく段階です。そのため、そもそもキャリアを自分で考えることの重要性や方法を教えることが必要です。また、その上で具体的に自分ができることややるべきことを理解していくサポートを行うと良いでしょう。
また、30代はある程度成功・失敗体験を積んでおり、自身の得意分野や苦手分野が分かれてきているタイミングです。それぞれに合った形での役割の拡大を行い、リーダーシップを発揮できるサポートを行うと良いでしょう。
■テーマになること
・キャリアを主体的に考えるようにする
・自分の価値観を整理する
・組織への貢献の仕方を知る
・役割拡大に向けた意識の情勢
■おすすめのプログラム
・キャリアの考え方を教える
・価値観を整理してシェアをする
・それまでの経験と自身のスキルを整理する
・社内で果たすべき役割を考える
40代向け
40代は「役職の有無」や「責任範囲の差」によってモチベーションが左右されやすいタイミングです。特に管理職・非管理職だと従業員の育成に対する姿勢が大きく変わり、周囲からの期待とずれが生まれやすくなります。
■テーマになること
・より経営方針への理解を深める
・組織内で担う役割をすり合わせる
■おすすめのプログラム
・360度評価や関係者からの評価を活用して自身への期待を把握する
・管理職/非管理職それぞれでのキャリアイメージを整理する
50代向け
50代は部下や後輩への役割の移譲や定年・再雇用を視野に入れた人生設計が必要なタイミングです。社内での影響力も大きくなっているため、後輩にとってのロールモデル・目指す姿となるサポートをすることが大切です。
■テーマになること
・役職に依らないキャリア形成を行う
・組織への貢献の仕方を変える
■おすすめのプログラム
・360度評価や関係者からの評価を活用して自身への期待を把握する
・これまでとは異なる組織への貢献方法や立ち位置を考える
・定年や再雇用を見通したライフプランを考える
※更新日:2022/11/24
キャリア研修なら、リンクアカデミーにおまかせ
リンクアカデミーでは個々人のキャリアの現在地にあったスキル研修を実施しております。職種・年次等さまざまな従業員様のキャリアに併せて、企業ごとの戦略的な研修体系構築、個人のレベルに最適な研修プランニング、異動後や業務シーンで即フィットできるような実行力のある研修をご提供しております。
研修内容に関しては、
・パソコンスキルの講座提供をしてきた㈱アビバ
・資格取得を支援する講座を提供してきた大栄教育システム㈱
・マンツーマン英会話レッスンを提供してきたディーンモルガン㈱
以上これら3ブランドの知見を活かし、キャリアアップに関するサービスをフルラインナップで展開してきました。
この実績と経験を活かして、
・内定者・新入社員の育成
・生産性向上
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・DX推進
・リスキリング推進研修
といった幅広い課題に対してもソリューションを提供しています。
記事まとめ
企業や個人を取り巻く環境が変化し続ける現代では、主体的に自身のキャリアを作っていく姿勢とそれをサポートする体制は双方にとって非常に重要なことになっています。キャリア研修を設計・実施することは従業員の仕事への向き合い方を変化させるだけではなく、会社への信頼も高めることが期待できます。特に年代別では特有のテーマがあるため、自社の状況と比べて適切なキャリア研修を提供しましょう。