イノベーションの意味とは?成功する企業の特徴や取り組むべきことは?
目次[非表示]
- 1.イノベーションの意味とは?
- 1.1.ヨーゼフ・シュンペーターが提唱するイノベーション
- 1.2.イノベーションの関連用語
- 2.近年、イノベーションが注目される理由は?
- 2.1.経済的に大きな成長が期待できる
- 2.2.生産性の向上が見込める
- 2.3.先行者特権の獲得ができる
- 2.4.市場での優位性を得られる
- 3.イノベーションを起こすには?企業が抱える課題
- 4.イノベーションを起こし、成功する企業の特徴は?
- 4.1.役割や立場に依らず提案できる
- 4.2.軌道修正を前提としている
- 4.3.コミュニケーションが盛んである
- 5.イノベーションを起こせるように企業が取り組むべきこと
- 5.1.自社の存在意義やビジョンを明確にする
- 5.2.多様な人材が活躍できる環境を作る
- 5.3.イノベーションを起こしやすい環境を作る
- 6.イノベーションに成功した企業事例を紹介
- 6.1.企業事例:Netflix
- 7.イノベーションを起こせる人材育成を!リンクアカデミーの研修サービス
- 8.リンクアカデミーの研修導入事例
- 9.記事まとめ
- 10.イノベーションに関するよくある質問
近年は市場の変化や顧客ニーズの多様化が進んでおり、企業は売上の維持や事業の成長のために様々な課題設定や対策実施を行っています。その中で、それまでの延長線上ではなく、新しい事業分野や市場の開拓が必要になった際に用いられる言葉に「イノベーション」があります。
昨今はIT業界を中心に、イノベーションが多くの場面で使われるようになりましたが、「言葉はよく聞くけど具体的な意味や内容は知らない」という方もいるのではないでしょうか。本記事ではイノベーションの基本的な意味や、成功する企業の特徴などをご紹介します。
イノベーションの意味とは?
「イノベーション」とは、「革新」や「刷新」を意味する「innovation」を元にした言葉です。元々は「技術革新」という意味で用いられることが多く、「連絡手段が電話や手紙だったところから、メールやチャットツール、SNSなどになったこと」や「スマートフォンに様々な機能が搭載されてビジネスツールになったこと」などが例として挙げられます。
一方で、技術だけではなくビジネスモデルや社内の仕組みなどで、新しい考え方や視点を基にして新たな価値を生み出すこともイノベーションにあたります。さらに一般化すると、人々の活動全般において、それまでとは異なる方法で新しい成果や常識の変化を生み出すことがイノベーションだと言えるでしょう。
ヨーゼフ・シュンペーターが提唱するイノベーション
イノベーションという考え方は、オーストラリアの経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターが提唱しました。彼はイノベーションには5つの理論があることを指摘しており、下記のように分類しています。
・プロダクト・イノベーション
「プロダクト・イノベーション」とは、それまでにない新しい商品・サービスを生み出すことを指します。技術開発によるものがイメージされやすいですが、既存の技術の組み合わせで生まれる場合もあります。蒸気機関や自動車、PC、スマートフォンなどの開発がプロダクト・イノベーションにあたります。
・プロセス・イノベーション
「プロセス・イノベーション」とは、商品・サービスの生産・製造過程のプロセスに起こすイノベーションのことを指します。これにより、それまでの生産プロセスでコストとしてかかっていた原価や人件費などを抑えて、大量生産が可能になります。機械による生産や運搬などがプロセス・イノベーションにあたります。
・マーケット・イノベーション
「マーケット・イノベーション」とは、新たに顧客ニーズを生み出して市場をつくることを指します。自社の商品・サービスや競争力を活かして新たに販路を作り出すことで、より安定した収益を上げることが期待できます。化学メーカーが、感染症の蔓延に伴って防疫市場に進出することなどがマーケット・イノベーションにあたります。
・サプライチェーン・イノベーション
「サプライチェーン・イノベーション」とは、商品・サービスの生産や提供に必要な資源の獲得方法を変えることを指します。材料費の高騰や不安定性を下げることで、価格を下げることや事業の安定化を実現することが期待できます。材料の代替品の採用や、プラットフォーム化によるサービス提供者の拡大などがこれにあたります。
・オーガニゼーション・イノベーション
「オーガニゼーション・イノベーション」とは、企業の組織変革により企業文化や仕組みなどを変えることを指します。組織形態や文化を変えることで、従業員の意識改革や生産性の向上などを見込むことができます。企業内の意思決定プロセスの変更や、採用・育成・制度の改革などがこれにあたります。
イノベーションの関連用語
イノベーションに関連する言葉として、下記のようなものが挙げられます。それぞれ意味を確認しておきましょう。
・オープンイノベーション
「オープンイノベーション」とは、「イノベーションを自社のみではなく、同業界・他業界など多くの協力者をつくって実現する方法」を指します。ハーバード大学のヘンリー・チェスブロウが提唱した方法であり、社外の様々な視点や意見を取り入れることで、前提に囚われないアイデアや手法を実現することができます。
・クローズドイノベーション
オープンイノベーションに対して、「自社内でイノベーションに関する企画検討や開発までを行う方法」を「クローズドイノベーション」と言います。こちらもヘンリー・チェスブロウが提唱した方法です。自社内のリソースのみでイノベーションを目指す必要がありますが、生み出した利益を自社のみで享受することができます。
・リノベーション
「リノベーション」とは、建築用語としてよく用いられる言葉であり、「修復」や「再生」という意味を持ちます。イノベーションがそれまでにないものを新たに生み出すことであるのに対して、リノベーションは今あるものを改善・修正するという違いがあります。
近年、イノベーションが注目される理由は?
では、なぜイノベーションが注目されているのでしょうか。近年イノベーションが注目される主な理由をご紹介します。
経済的に大きな成長が期待できる
まずは「収益の拡大」を見込めることが挙げられます。多くの場合イノベーションを実現した企業は新たな市場や顧客を獲得することができ、既存の市場に加えて大きな利益を得ることができます。また、資本家からの注目も集まるため、積極的に資本的なサポートを得ることもできるようになります。その収益や受けた投資を元にして、さらに市場の拡大を進めることができるため、イノベーションは企業の経済的な成長に繋がります。
生産性の向上が見込める
近年は少子高齢化の影響により、労働人口が年々減少しています。また、「年功序列・終身雇用」といった従来の雇用観念は薄れてきており、転職や副業などが当たり前になってきているため、企業における人材不足は深刻化する傾向があります。その中で、それまでの働き方やビジネスモデルでは、無理な長時間労働に繋がる可能性があり、それは組織の疲弊を生み出します。
これに対して、イノベーションによる生産過程の効率化や、組織の変革が実現すれば労働生産性が向上し、従業員の負荷を減らしながら利益を創出することが期待できます。
先行者特権の獲得ができる
イノベーションにより、新たな市場をいち早く開拓・参入することで、自社との親和性の高い顧客や協力者との接触機会を独占することができるようになります。このような先行者特権はビジネスにおいては非常に強力であり、後発者と比較して市場内で大きな影響力を与える立場になることができます。これは大企業だけではなく、中小・中堅企業においても獲得することが可能であるため、イノベーションはどの規模の企業においてもメリットがあることだと言えるでしょう。
市場での優位性を得られる
先行者特権に加えて、市場での優位性を確保できることもイノベーションが注目される理由として挙げられます。例えば、新たな商品・サービスを開発した場合は、その企業は技術的な特許を獲得することができます。特許を獲得していると、商品・サービスの根幹部分で他の企業から模倣される可能性が少なくなるため、顧客に提供できるクオリティに差を生み出し続けることができます。
イノベーションを起こすには?企業が抱える課題
イノベーションにより企業は多くのメリットを得ることができます。しかし、国内で「イノベーションが生まれやすい」というイメージはあまりないのではないでしょうか。技術的に高い評価を受けている日本ですが、イノベーションが起こりにくい原因の1つに、日本企業が抱えている課題があると言われています。
継続的にイノベーションを起こすことができていない
イノベーションは「一度起こせば大丈夫」というわけではありません。社会情勢や人々の生活は時間の中で変化し続けており、その度に企業に求められる価値発揮の方法や内容も変わっています。また、イノベーションを起こすことで先行者特権や優位性を得ることはできますが、時間が経つにつれてその効果は薄まっていきます。その中で自社の商品・サービスの寿命を見誤るとイノベーションは生まれず、利益も徐々に下がっていく可能性があります。
イノベーションを実現するスピードが遅い
「日本人は完璧主義だ」と言われることがありますが、その気質はイノベーションとは相性が悪い場合があります。イノベーションを起こすためにはしっかりとした検討や準備も必要ですが、それと同時に「試しながら軌道修正をすること」も重要です。現状維持や前例主義を前提としてしまうと、更にそのスピードは遅くなってしまい、せっかくのアイデアも実行することなく他の企業に先を越される場合があります。
イノベーションを起こす体制が整っていない
企業風土の変化や社内体制の変革に取り組んでいる企業も増えてきていますが、従来の日本企業の文化は依然として残っていると言えるでしょう。「ことなかれ主義」や「空気を読む」といった文化のみではイノベーションに繋がりにくい可能性があります。また、社内体制の見直しがなされないままだと、提案や意見を出しにくい組織図の形態や会議の進め方などによってイノベーションは阻害されることがあります。
イノベーションを起こし、成功する企業の特徴は?
一方で、イノベーションを起こして成功する企業にはどのような特徴があるのでしょうか。
役割や立場に依らず提案できる
イノベーションには、それまでの常識のみに囚われない視点や考え方が大切です。もちろん、それまで企業として大切にしてきた考え方や想いを捨てるわけではありません。これまで培ってきた信頼や文化が、どのように活用することができるのか工夫をするためには、既存社員だけではなく新規入社者や外部の視点を取り入れることが有効です。
軌道修正を前提としている
多くの場合、イノベーションは一度のチャレンジではなく、複数のチャレンジの中で生まれています。失敗した事例がイノベーションに繋がるケースもあるため、「そもそも失敗は前提であり、軌道修正しながら良くしていく」という前提が企業内で共有されていることが重要です。「失敗をしないようにしよう」という意識ではなく、「失敗からどのようなことを学べるか」や「次はどうしたら上手くいくか」という意識を持つことができるように、「成果」と「プロセス」の両方に目を向ける仕組みを作ると良いでしょう。
コミュニケーションが盛んである
イノベーションは日常の業務の中だけではなく、ちょっとした雑談や相談をきっかけにして起こることがあります。職場内でのコミュニケーションに加えて、普段は業務で関わることが少ない他部署の従業員同士のコミュニケーションが活発であることで、普段は見ていない視点や考え方を得ることができます。また、社内に限らず社外での交流を増やすことでも、イノベーションの種を得ることが期待できます。
イノベーションを起こせるように企業が取り組むべきこと
イノベーションの起こし方は企業によって異なります。しかし、基本的にイノベーションを起こすために企業が取り組むこととして共通のものがあるため、代表的なものをご紹介します。
自社の存在意義やビジョンを明確にする
イノベーションはそれまでの常識や固定観念から離れるものですが、それが自社の理念やビジョンから外れてしまっては意味がありません。また、イノベーションはあくまで手段であるため、目的が不明瞭な場合はその内容を考えることはできません。そのため、まずは「なぜ自分達はこの事業をやっているのか」や「この先どのようなことを実現したいのか」といった存在意義やビジョンを明確にして、戦略性を持てるようにしましょう。
多様な人材が活躍できる環境を作る
イノベーションを起こすためには、多様な価値観や視点、考え方を元にしてアイデアを出すことが重要です。それぞれの視点から意見や提案を出してもらうことが求められますが、それは普段から様々な人材がいきいきと働き、活躍して提案をする基盤ができていることが前提となっています。社内で人材を活かすための教育体制や育成体系などを整えておき、それぞれが活躍できる環境を作るようにしましょう。
イノベーションを起こしやすい環境を作る
イノベーションは何度か失敗することが前提であるため、全社としてその意識を持てる環境をつくることが重要です。例えば、入社したタイミングの研修で「ビジネスは動きながら軌道修正するもの」という前提を伝えたり、日々のコミュニケーションの中で挑戦を奨励したりといったことに取り組むことができます。
イノベーションに成功した企業事例を紹介
企業事例:Netflix
郵送によるDVDレンタル事業から始まり、現在は190以上の国々に動画配信を行っているNetflix。業界の動向を注視し、顧客の需要にいち早く対応したことが成功の要因と言えます。
顧客の問題や願望に基づいて常にビジネスモデルを構築していくこと、そのために現在の事業内容に拘りすぎるのではなく、顧客の求めるものにそぐわない場合は恐れることなく、即座に見直し・転換を行うこと。これにより、インターネットを活用したビジネスチャンスを掴み競合他社を圧倒してきたのが同社です。
また、ストリーミングコンテンツを導入したことにより、多様化の進む昨今においてパーソナライゼーションの推進が可能になりました。データ収集及び分析、即ちデジタルデータを活用することで、ニッチな層へのオリジナルコンテンツの制作や、顧客一人ひとりのニーズに合わせた商品やサービスを提案することが可能になったことも、躍進を続ける理由であることは間違いないでしょう。
イノベーションの裏には、データ収集・分析があります。同社のビジネスにおいて、賢明な意思決定の多くはデータ分析から得られる知見に基づいています。
イノベーションを起こせる人材育成を!リンクアカデミーの研修サービス
本記事のテーマである「イノベーション」の裏には必ずデータの収集・分析を始めとした、イノベーションを起こすための人材育成が必要です。
リンクアカデミーは「あなたのキャリアに、本気のパートナーを」をミッションに掲げて個人が「学び」を通じ自らのキャリアを磨き上げられる場を目指しています。
独自の「診断技術」と「変革技術」を用いて数多くの企業様を支援させていただいてきた実績を元に、イノベーションを起こすための人材育成を共に行いたいと考えております。
そのために
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リンクアカデミーの研修導入事例
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・東京建物株式会社様
・株式会社フロム・エージャパン様
・株式会社トーコン様
記事まとめ
近年では、市場の変化や顧客ニーズの多様化が進んでいるため、企業を取り巻く環境は目まぐるしく変化を続けています。その中で企業が事業の維持や成長を目指した「イノベーション」が注目されています。イノベーションとは、「新しい考え方や視点を基にして新たな価値を生み出すこと」であり、技術だけではなく商品・サービスやビジネスモデルなどの変革もイノベーションにあたります。イノベーションを成功させる企業には特徴があり、基本的な取り組みもあるため自社での適用方法を模索しましょう。
イノベーションに関するよくある質問
Q1:イノベーションが注目される理由は?
A1:下記の4つが主に理由として挙げられます。
・経済的に大きな成長が期待できる
多くの場合イノベーションを実現した企業は新たな市場や顧客を獲得することができ、既存の市場に加えて大きな利益を得ることができます。また、資本家からの注目も集まるため、積極的に資本的なサポートを得ることもできるようになります。
・生産性の向上が見込める
イノベーションによる生産過程の効率化や、組織の変革が実現すれば労働生産性が向上し、従業員の負荷を減らしながら利益を創出することが期待できます。
・先行者特権の獲得ができる
イノベーションにより、新たな市場をいち早く開拓・参入することで、自社との親和性の高い顧客や協力者との接触機会を独占することができるようになります。
・市場での優位性を得られる
先行者特権に加えて、市場での優位性を確保できることもイノベーションが注目される理由として挙げられます。例えば、新たな商品・サービスを開発した場合は、その企業は技術的な特許を獲得することができます。
Q2:イノベーティブな企業の特徴は?
A2:下記の3つが挙げられます。
・役割や立場に依らず提案できる
イノベーションには、それまでの常識のみに囚われない視点や考え方が大切です。既存社員だけではなく新規入社者や外部の視点を取り入れることが有効です。
・軌道修正を前提としている
多くの場合、イノベーションは一度のチャレンジではなく、複数のチャレンジの中で生まれています。失敗した事例がイノベーションに繋がるケースもあるため、「そもそも失敗は前提であり、軌道修正しながら良くしていく」という前提が企業内で共有されていることが重要です。
・コミュニケーションが盛んである
職場内でのコミュニケーションに加えて、普段は業務で関わることが少ない他部署の従業員同士のコミュニケーションが活発であることで、普段は見ていない視点や考え方を得ることができます。また、社内に限らず社外での交流を増やすことでも、イノベーションの種を得ることが期待できます。