マネジメントとは?意味や役割、必要なスキルやポイントを徹底解説!
企業経営をする中で不可欠な要素であるのが、マネジメントです。一口にマネジメントと言っても、その歴史は古く、現在に至るまで様々な変化を経てきています。そのような中では、改めて「マネジメントとは何なのか」「現在求められているマネジメントとは何か」といったことをしっかりと把握しておくことが大切です。本記事では、マネジメントの意味やその内容、必要なスキルなどを簡単にご紹介します。
目次[非表示]
- 1.マネジメントとは何か?
- 1.1.マネジメントが定義された歴史
- 1.2.マネジメントの定義
- 1.3.マネジメントの役割
- 2.マネジメントの主な種類と役割
- 2.1.トップマネジメント(最高経営者層)
- 2.2.ミドルマネジメント(中間管理者層)
- 2.3.ローアーマネジメント(監督者層)
- 3.マネージャーとリーダーの違いは?
- 4.マネジメントとリーダーシップの違いは?
- 5.企業でのマネジメントの例と業務内容
- 5.1.ビジョンマネジメント
- 5.2.戦略マネジメント
- 5.3.PDCAマネジメント
- 5.4.メンバーマネジメント
- 6.マネジメントに求められるスキル
- 7.今後のマネジメントに求められることとポイント
- 7.1.メンバーのキャリア設計を行う
- 7.2.多様化する人材に対応する
- 7.3.環境変化に適応する
- 8.法人研修のことならリンクアカデミーへ
- 9.リンクアカデミーの研修導入事例
- 10.まとめ
- 11.マネジメントに関するよくある質問
マネジメントとは何か?
マネジメントとは、組織にある人やお金、施設といった資産を管理・運用することを指します。ビジネスシーンでは、部署やチームの管理を行うことをマネジメントとしていることが多く、マネジメントを行う人をマネージャーと呼んでいます。
マネジメントが定義された歴史
マネジメントは、「経営」や「管理」という意味を持つ英単語である「management」から来ている言葉です。現在では、部署やチームといった組織を管理することや運営するといった意味で使われることが多いでしょう。
現在は広く用いられているマネジメントという言葉ですが、一般的に認知されるようになったきっかけは、アメリカの経営学者であるピーター・ファーディナンド・ドラッカーが著書「マネジメント」でその言葉を使ったことだとされています。
ドラッカーは経営学者であると共に、起業家に対するコンサルティングや経済学者といった方向でも活躍し、広い範囲で経営に関する功績を残しています。近年でも、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が2009年に発売されたことで、その内容のわかりやすさや面白さもあり、ドラッカーの「マネジメント」は更に注目を集めました。
現在ではドラッカーが提唱して以降、様々な型のマネジメントが提案されており、各企業やチームが組織成果を高めるために活用しています。
マネジメントの定義
ドラッカーは「マネジメント」や「マネージャー」について、以下のように定義をしています。
■マネジメント
組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関
■マネージャー
組織の成果に責任を持つ人
ドラッカーの定義によれば、マネジメントは、管理をすることが目的ではなく、組織が成果を上げることが目的であることが分かります。また、マネージャーについても組織の管理を行うだけではなく、最終的にその成果に責任を持つべきであるとされています。
マネジメントの役割
ドラッカーはマネジメントの役割についても、以下のようなものがあると提唱しています。
■組織が持っている使命を果たす
まずは、組織が本業として持っている特有の使命を果たすことが、マネジメントの役割として求められます。
■組織の中で働く人を活かす
マネジメントは、組織の成果を向上すると共に組織の中で働いている人を活かすことも役割として持っています。メンバーの特性やタイプといったものを把握して、適切な役割や責任を与えたり、活躍に応じて報酬を与えたりすることが当てはまります。
■社会に貢献する
ドラッカーの考え方によると、企業は社会のためにあるものであり、社会から人材や資源を預かって運営しているとされています。そのため、社会に対してどのように貢献できているかを考える必要があります。
マネジメントの主な種類と役割
マネジメントには、経営層である「トップマネジメント」と中間管理者である「ミドルマネジメント」、現場の管理者である「ローアーマネジメント」の3つの種類があります。それぞれの役割や内容について、確認しておきましょう。
トップマネジメント(最高経営者層)
トップマネジメントは、会長や社長、取締役といった企業の経営層や、各部門の責任者である執行役員といった経営陣のことを指します。トップマネジメントには、経営ビジョンに沿って企業全体の戦略や経営方針を立てることや、企業全体に関する意思決定を行う役割があります。トップマネジメントは他の階層や役割と比べて、長期的かつ広範囲な視点で物事を見て判断することになります。そのため、より強力なリーダーシップや意思決定の力が必要となります。
ミドルマネジメント(中間管理者層)
ミドルマネジメントは、部長や課長、支店長や工場長といった、中間管理者層のことを指します。ミドルマネジメントは、経営層であるトップマネジメントと現場の監督者であるローアーマネジメントの間に存在する層であり、組織の中では「結節点」の役割を担うことが多くなります。
結節点とは、組織の中でコミュニケーションの仲介を行う役割のことです。経営層からの戦略や方針についてその意図・背景や内容を適切に現場に伝えると共に、現場の状況やメンバーからの意見・提案を経営層に届けるといったことが求められます。
ローアーマネジメント(監督者層)
ローアーマネジメントは、係長や主任、現場のリーダーといった、現場での監督者層のことを指します。実際に現場で働いている人たちが、トップマネジメントやミドルマネジメントから伝えられた方針に沿って行動することができるようにマネジメントを行います。ローアーマネジメントは実際の業務を遂行する立場であるため、マネジメントする内容はトップマネジメントやミドルマネジメントと比べて短期的かつ狭い範囲のものになります。
マネージャーとリーダーの違いは?
マネージャーと似ている言葉として、「リーダー」がありますが、両者はそれぞれ異なる役割を持っています。
リーダーの意味
リーダーとは、組織やチームが目指すゴールや方向性を示す役割のことを指します。リーダーは、ある一定の目的に向けて、周囲の人々に影響を及ぼして、その実現へと導くことが求められており、率先した行動に加えてメンバーへの権限移譲などを駆使しながら組織を牽引します。組織が目指すゴールや目的を設定することが、リーダーであると言えるでしょう。
マネージャーの意味
マネージャーは、組織が進むべき方向性や目的に向かうことができるように、全体を管理・監督する役割です。マネージャーは、基本的にはリーダーが決めたゴールや選定したメンバーに応じて、目標を設定してそこまでの到達方法を示します。リーダーがゴールを示す役割であるのに対して、マネージャーはそれを実現するための方法を考える立場であると言えるでしょう。
マネジメントとリーダーシップの違いは?
マネージャーとリーダーがそれぞれ異なる役割を持っているのと同様に、マネジメントとリーダーシップについてもそれぞれ異なる意味を持っています。マネジメントとリーダーシップについて、以下のような定義ができるでしょう。
■マネジメント
目的や目標に向けて、組織の中の資源を管理・運用することで、達成を実現すること
■リーダーシップ
ある一定の目的に向けて、周囲に影響を与えてその実現に導く行為
マネジメントが目的や目標に対して実現のために実際に組織を管理・運営することであるのに対して、リーダーシップは目的を示して周囲に影響を与えることが主である行為です。
企業でのマネジメントの例と業務内容
企業で行われるマネジメントには、主に以下のような「ビジョンマネジメント」「戦略マネジメント」「PDCAマネジメント」「メンバーマネジメント」の4つの種類があるとされています。それぞれ内容をご紹介します。
ビジョンマネジメント
ビジョンマネジメントとは、経営ビジョンの策定や浸透を指します。ビジョンの策定の段階では、会社の歴史や現在選ばれている価値、今後目指したい方向性といったことから自社のビジョンを考えます。この際には、従業員がイメージしやすく納得できる言葉を選ぶことが大切です。
また、ビジョンの浸透の段階では、経営層からのメッセージ発信だけではなく、ミドルマネジメントやローアーマネジメントがしっかりとビジョンの背景や意味を理解して、メンバーに伝えることが重要です。
戦略マネジメント
戦略マネジメントでは、ビジョンを実現するための戦略を策定します。戦略を策定する際には、「誰に」「何を」「どのように」を考えることが大切であり、どのようなターゲットやマーケットに、自社にどのような価値を感じてもらいたいのかを明確にします。また、実際に社内で業務を進めることができるように、ユーザーにまで商品・サービスを届ける「ビジネスプロセス」を整理することで、従業員がどのタイミングでどのような価値を発揮すればいいのかが分かるようになるでしょう。
PDCAマネジメント
PDCAマネジメントは、「Plan(目標設定)」「Do(実行)」「Check(効果測定)」「Action(軌道修正)」で構成されているPDCAを回して、組織の目標を達成することを指します。策定した戦略に沿って適切な達成プランを描き、問題解決を行いながら実行を促進します。マネージャーは現場メンバーの業務の進捗状況を把握して、適切なタイミングで軌道修正を行うことが求められます。そのため、PDCAマネジメントでは指標の明確化や管理帳票の設定、会議の最適化を行うことで、その効果を高めることができます。これまでの過去慣性や経験に頼ったものではなく、データに基づいた指標の設定やコミュニケーションをとることで、より効果的なPDCAサイクルを回すことが期待できます。
メンバーマネジメント
メンバーマネジメントは、メンバーの意欲と能力を向上させることを指します。戦略や目標設定の出来栄えが素晴らしいものであるとしても、実際に業務を行うメンバーのスキルやモチベーションが十分でない場合には、それを達成・実現することは難しいでしょう。メンバーマネジメントでは、メンバーの実行力を上げるために適切な知識やスキルを提供しつつ、コミュニケーションの機会を設けてやりがいや責任感などを高めることが大切です。メンバーにスキルの向上機会を与えることで、「自分は期待されている」「自分でもできそう」と感じさせ、主体的な行動ができるメンバーを増やすことができます。
マネジメントに求められるスキル
マネジメントに求められるスキルとして、以下のような4つの種類が挙げられます。それぞれ内容を見ていきましょう。
情報提供
マネジメントを行う上では、適切な情報提供のスキルが大切です。情報提供とは、現場のメンバーに対して適切な情報を与えることを指しており、情報提供が滞っている場合には、メンバーは自身の業務の全体像や目的が不明瞭になってしまい、行動が促進されません。
情報提供の内容としては、以下のようなものが代表的です。
■ 戦略情報の提供
自部署とそのメンバーをとりまく環境(業界動向、顧客のニーズ、競合の動向、会社方針等)に関する情報を把握し、メンバーに情報を提供する。
■ 役割情報の提供
メンバーが業務を遂行するにあたって必要となる情報(自部署の使命・目標等)を提供すると共に、役割や責任範囲を明確にし、具体策を示す。
情報収集
情報提供を行うと共に、情報を収集するスキルもマネジメントには重要です。情報収集ができていない場合には、メンバーの業務の進捗状況やコンディションが分からずに指示を出してしまい、業務にムリ・ムダ・ムラを生じさせてしまう可能性があります。適切な情報収集を行うことで、全体のリソース配分や業務ペースの調整などを行うことができるでしょう。
情報収集の内容としては、以下のようなものが代表的です。
■ 役割情報の収集
自部署内の連携状況、他部署との連携状況を把握すると共に、メンバー個々人の持ち味や要望をつかむ。
■ 進捗状況の収集
自部署の業務の進捗状況を把握し、個々人の成果を確認すると共に、トラブルの発生や個々人の課題を把握する。
判断行動
マネジメントに必要なスキルとして、判断行動のスキルも挙げられます。判断行動とは、何か物事に対して基準を設けて、意思決定を行うことを指します。ビジネスシーンにおいては、日常的に何らかの選択が発生します。その中で、適切な判断をスピーディーに行うことが組織の成果を最大化することに繋がるでしょう。
判断行動の内容としては、以下のようなものが代表的です。
■ 基準提示と人事評価
メンバーに求める行動や考え方のポイント、業務に関する評価基準を明確に提示し、基準に従って公平に評価を行う。
■ 意思決定と率先垂範
どのような状況においても迅速な意思決定を行い、またマネジャー自らが模範となるよう積極的に行動する。
支援行動
支援行動もマネジメントに必要なスキルです。支援行動とは、メンバーが業務を行う上で必要なサポートを行うことを指しており、知識やノウハウの提供やトラブルの解決などを行います。支援行動が不十分な場合には、メンバーは「放って置かれている」といった意識が芽生えやすくなり、その意識は成長を阻害する要因となります。
支援行動の内容としては、以下のようなものが代表的です。
■ 人材開発と業務支援
部下にノウハウの伝授、チャレンジする機会の提供を行い、部下のコンディションを気にかけ、壁にぶつかった際には適切にサポートする。
■ 動機形成と意欲喚起
業務の背景や意義の伝達、部下へ適切な権限委譲を行い、またオープンに部下の意見を募り、優れた意見や企画を取り入れる。
今後のマネジメントに求められることとポイント
様々な役割やスキルが求められるマネジメントですが、特に今後のマネジメントで必要となるポイントがいくつか存在します。代表的なものをご紹介します。
メンバーのキャリア設計を行う
高度経済成長期のような、大量生産大量消費の時代には、ある程度トップダウンのマネジメントが機能していました。しかし、現在は顧客のニーズや働き手の意識が変化していることにより、従来の指示命令型のマネジメントだけではなく、メンバーの自発性を生み出すマネジメントが必要となっています。その中では、メンバーのキャリアイメージを明確にして、自社内でのキャリアステップを一緒に設計してその実現を目指すことが必要となっています。
多様化する人材に対応する
現在は従業員の価値観やポリシーは多様化してきており、従来の終身雇用・年功序列型の雇用形態やそれに伴うマネジメントは機能しなくなってきています。そのため、それぞれの従業員の特性を理解した上で、その多様性を認めつつ活かし合うための方法を模索するマネジメントが重要となっています。多様性を尊重したマネジメントを行うことで、事業に大きな影響がある新しいアイデアやイノベーションも生まれやすい環境になるでしょう。
環境変化に適応する
新型コロナウイルスの影響や社会情勢の変化のように、企業を取り巻く環境は目まぐるしく変わっています。その中で、これまで通りのやり方を踏襲し続けるだけではなく、環境の変化に応じたマネジメントを確立することの重要性は高まっています。VUCAの時代とも言われている現代では、しっかりと自分の周りでどのようなことが起こっているのかを認識し、その都度どのような行動を取れば良いのかを考える力が必要です。
法人研修のことならリンクアカデミーへ
メンバーのキャリア設計を行ううえで重要になるのが、どんな環境でも活躍できる人材に育てていくことです。環境変化に適応できる人材を育てるには、ポータブルスキル(対課題力、対人力、対自分力等、業界や職種を超えて必要な社会人基礎力)及びリテラシースキル(ITスキル、語学力等、ビジネスにおいて汎用的な知識や技術)の向上が必須です。リンクアカデミーでは、単にスキル提供をするにとどまらず、研修で習得したリテラシースキルをポータブルスキルと掛け合わせて、いかに実務で活用していくかという思想まで享受していきます。
(詳しくはhttps://linkacademy-business.com/service/0015)
リンクアカデミーの研修導入事例
・ネットワンシステムズ株式会社様
・東京建物株式会社様
・株式会社フロム・エージャパン様
・株式会社トーコン様
まとめ
マネジメントとは、目的や目標の達成のために組織の中にあるヒト・モノ・カネといった資源を管理・運用することを指します。マネジメントは元々ドラッカーが著書の中で提唱した概念ですが、現在は市場の変化や働き手の意識の変化に応じてマネジメントに求められるものも変化しています。まずはマネジメントが持っている基本的な役割や、必要なスキルを把握し、自身のマネジメントスタイルと照らし合わせて改善を行ってみましょう。
マネジメントに関するよくある質問
Q1:マネジメントとリーダーシップの違いは?
A1:マネージャーとリーダーがそれぞれ異なる役割を持っているのと同様に、マネジメントとリーダーシップについてもそれぞれ異なる意味を持っています。マネジメントとリーダーシップについて、以下のような定義ができるでしょう。
■マネジメント
目的や目標に向けて、組織の中の資源を管理・運用することで、達成を実現すること
■リーダーシップ
ある一定の目的に向けて、周囲に影響を与えてその実現に導く行為
マネジメントが目的や目標に対して実現のために実際に組織を管理・運営することであるのに対して、リーダーシップは目的を示して周囲に影響を与えることが主である行為です。
Q2:マネジメントの主な役割は?
A2:マネジメントには、経営層である「トップマネジメント」と中間管理者である「ミドルマネジメント」、現場の管理者である「ローアーマネジメント」の3つの種類があります。
トップマネジメントは経営ビジョンに応じた経営方針の決定や、組織全体の意思決定を行います。ミドルマネジメントは、「結節点」として経営と現場の間のコミュニケーションを繋ぐことが求められます。ローアーマネジメントは、経営方針やミドルマネジメントの指示に従って現場メンバーがしっかりと行動をできるサポートを行います。
Q3:マネジメントに求められるスキルとは?
A3:マネジメントに求められるスキルとして、「情報提供」「情報収集」「判断行動」「支援行動」が挙げられます。
情報提供では経営から発信されている方針や必要な情報を現場に伝え、情報収集では現場メンバーの状況を把握します。判断行動では、物事に基準を設けて意思決定を行います。支援行動では、現場のメンバーが業務を遂行するために必要なサポートを行います。