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360度評価とは?メリット・デメリットと項目例、運用時の注意点を解説

目次[非表示]

  1. 1.360度評価とは
  2. 2.360度評価のメリット
    1. 2.1.評価の客観性を担保できる
    2. 2.2.社員の評価への納得度を上げることができる
    3. 2.3.管理職育成に繋がる
  3. 3.360度評価のデメリット
    1. 3.1.慣れていない社員が行う場合、主観的になる可能性もある
    2. 3.2.評価に馴れ合いが生じやすい
    3. 3.3.評価を意識した偏った指導になりやすい
  4. 4.360度評価の評価項目・運用のポイント
    1. 4.1.従業員に対する事前説明を行う
    2. 4.2.評価項目は勤務態度を中心とする
    3. 4.3.評価者が偏りすぎないようにする
  5. 5.360度評価を書く際のポイントと例文
  6. 6.360度評価の導入事例
    1. 6.1.株式会社NTTデータ
    2. 6.2.株式会社バンダイナムコエンターテインメント
  7. 7.法人研修ならリンクアカデミー
  8. 8.リンクアカデミーの研修導入事例
  9. 9.360度研修に関するよくある質問
  10. 10.まとめ


 人事評価や人材育成を効果的に行うために、様々な手法やツールなどが活用されています。従業員の評価を行う方法の1つとして、多く利用されているものの1つが360度評価です。360度評価を行うことで、上司からの評価だけではなく同僚や部下といった周囲の人からの評価を集めることができます。本記事では、人事評価や人材育成に役立つ360度評価について、そのメリット・デメリットや運用のポイントなどをご紹介します。


360度評価とは

 360度評価とは、上司や同僚、部下といった様々な人から行う評価のことを指します。立場が異なる複数の人からの評価を集めることで、より多面的な視点から従業員の評価を行うことができます。

 360度評価は、より妥当性のある人事評価や効果的な人材育成を行うために活用されています。特に、近年は年功序列・終身雇用の雇用形態が機能しにくくなってきており、より人材の能力や才能の発揮を促すことが企業価値を高める要因となっています。そのため、360度評価を活用した人材育成や評価を行うことは、組織としての成長を促進するためにも重要なことだと言えます。


360度評価のメリット

評価の客観性を担保できる

 360度評価を行うことで、「評価の客観性を担保できる」というメリットが得られます。従来は1人の上司が部下を評価し、それをもとに報酬の支給や育成計画の策定などが行われていました。人事評価制度で評価の項目や基準を定めている中でも、上司の主観が入る余地が大きい評価方法であると言えます。主観による評価が続くと、適切な人事評価ができなかったり、効果的な人材育成を実施できなかったりといった問題が発生する可能性が高まります。

 360度評価を行うことで、複数の視点から従業員の成果や行動を確認・評価することができるため、より評価の客観性を高めることができます。

社員の評価への納得度を上げることができる

 「従業員の評価への納得度を上げることができる」といったことも、360度評価を行うメリットとして挙げられます。上司1人からの評価のみを行っている場合、上司側のマネジメントスキルや部下との信頼関係によっては、評価結果に対する納得感が生まれにくくなる可能性があります。

 評価に対する不納得感が生まれてしまうと、仕事に対するモチベーションや会社に対するエンゲージメントが低下してしまい、パフォーマンスが発揮されなくなってしまいます。

 360度評価では、上司だけではなく同僚や部下からの評価を得て、従業員は複数の観点からのフィードバックや意見を受け取ることができます。様々な意見を集約した結果の評価を受けることで、その内容に対する納得感を高めることができます。

管理職育成に繋がる

 360度評価を行うことで、「管理職の育成に繋がる」ということも大きなメリットです。管理職は普段部下に対して指示や評価を行う立場であるため、自身の成果や行動に対するフィードバックを受ける機会が少なくなる傾向があります。自身のことを振り返り、適切に課題解決を行う機会がないままでは管理職として成長することが難しくなります。

 360度評価を行うことで、部下から評価を受けて自身のことを振り返る機会を設けることができます。受けた評価やフィードバックをもとにして行動を変えることで、マネジメントスキルの向上や部下からの信頼醸成を実現することができます。

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360度評価のデメリット

慣れていない社員が行う場合、主観的になる可能性もある

 360度評価を運用する際に、慣れていない従業員が評価を行う場合には主観的な評価に偏る可能性があります。客観的な視点での評価ではなく主観的な感情での評価の割合が大きくなると、相手の成長に向けた意見や提案を行いづらくなります。

 感情を全て排除することはできませんが、あくまで相手の成長や組織としてのチームワークの強化といった目的を意識して360度評価を行うことが大切です。そのために、実施前に360度評価を行う目的や観点について共有しておく必要があります。

評価に馴れ合いが生じやすい

 360度評価を行う中で、従業員同士の評価に馴れ合いが生じやすいということにも気をつけておく必要があります。「自分の評価を高くしてほしい」、「人に対してあまり指摘をしたくない」といった感情が大きくなると、相手に対して行う評価が甘くなることがあります。実態とは異なる評価が多くなると、適切なアドバイスや育成などを行うことが難しくなります。

 適切な評価を行ってもらうためには、360度評価の目的に対する理解を深めてもらう工夫や、適切な評価方法の周知などを実施することが大切です。

評価を意識した偏った指導になりやすい

 上司が部下からの評価を意識しすぎてしまい、偏った指導を行う可能性があることも、360度評価のデメリットとして考えられます。360度評価では、部下から上司に対する意見やフィードバックも行われるため、上司がその内容を気にしすぎるとその後の指導が中途半端なものになることがあります。

 「部下から良い評価をもらいたい」といった気持ちが強くなると、本来指摘や指導を行うべきことについても踏み込めないタイミングが多くなります。その場合、組織成果の創出や部下の成長を阻害することになるため、注意が必要です。

 評価は人格の否定ではないことや、その後の改善の方が重要であることなどについて、全体で理解ができるような関わりをすることが大切です。


360度評価の評価項目・運用のポイント

従業員に対する事前説明を行う

 360度評価を導入・運用する際には、従業員に対して事前にその実施の説明を行いましょう。事前の説明がないままに回答を求めると、評価の基準や目的が分からずに、主観的・感情的な評価を行ってしまう可能性があります。

 そのため、「なぜ360度評価を行うのか」や「どのような評価を行ってほしいのか」といった目的や基準について、事前に理解してもらうことが大切です。説明の方法としては、説明会の実施や職場での説明、個別での連絡など様々な方法があります。

評価項目は勤務態度を中心とする

 360度評価の評価項目を考える際には、「勤務態度を中心とする」ことをおすすめします。360度評価を行う目的として、普段の仕事ぶりが周囲にとってどう映っているのかを把握することが挙げられます。

 知識やスキルについて評価を行うことはできますが、より普段の働き方や周囲との関わり方を把握することで、組織づくりやチームワークの改善、個人の成長に対する対応を考えやすくなります。勤務態度を中心として、関連する業務スキルなどについても項目を設定すると良いでしょう。

評価者が偏りすぎないようにする

 評価者が偏りすぎないようにすることも、360度評価を運用する際のポイントです。評価を行う人が上司や先輩だけ、部下だけといったように、その属性が偏りすぎると多面的な評価を得ることができません。上司、同僚、部下がバランスよく回答を行うことができるように、評価者の選定には注意を払うことが必要です。

 また、評価を行う人については基本的に匿名性を担保します。匿名での評価を行うことで、評価者の心理的な負担を軽減するとともに、より実態に即した評価を得ることができるでしょう。


360度評価を書く際のポイントと例文

 実際に360度評価を行って、相手に対して評価やコメントをする際にはいくつかポイントがあります。

■相手の成長に向けた評価をする
 360度評価はあくまで相手の成長や、組織全体としての改善のために行われます。そのため、相手の粗を探すのではなくしっかりと成長につながることについて考えて評価を行います。逆に、忖度をしすぎて本来伝えるべきことを伝えないといった状態にも陥らないようにすることが大切です。360度評価の機会を通して、相手の成長を促すきっかけにするといった意識を持つようにしましょう。

■具体的な内容を書く
 360度評価では、具体的な内容を書くことが大切です。抽象的なコメントが多くなると、どのような課題があって、どう成長をしていけば良いのかが分かりづらくなってしまいます。そのため、「優しい」といった書き方ではなく、「普段からコンディションに気を遣ってくれるため、気持ちよく働くことができる」といったように具体的な内容のコメントを行うことを意識します。

 具体的という面では、コミュニケーションやスタンスといったソフトスキルの可視化は難しく評価しづらいですが、ITスキルであれば資格などもありスキルの可視化がしやすくなります。昨今デジタル時代が加速しているため、スキルの可視化がしやすいITスキルなどを目標に置くことによって、より評価しやすくなるでしょう。

■相手を傷つける目的の内容は書かない
 360度評価は、相手に対して文句を伝えるものではありません。360度評価を使って相手を傷つける目的のコメントや誹謗中傷を伝えたとしても、本来望ましい解決には繋がりにくいでしょう。改善してほしいことがある場合についても、その事実だけを伝えるだけではなく、どのように変えてほしいのかといったことにまで言及することで、より良い解決策を見つけることができます。

 また、以下の例文のように360度評価を書くことで、より良い評価・コメントを行うことができます。

■定期的に相談に乗ってくれるため、自分の課題や解決策が見つかりやすく助かっている
■成果は出しているが、遅刻や欠勤が目立つため日常的な勤務態度についても周囲の意見を聞いてほしい
■コミュニケーション能力が高いため、社内でのイベントや施策にも積極的に参加してほしい


360度評価の導入事例

株式会社NTTデータ

 大手システムサービス提供会社である株式会社NTTデータでは、課長層の支援や育成を行うために360度評価を運用しています。

 評価を行う前に、しっかりと360度評価の目的や意義を伝えるとともに、課長が実際に抱えている葛藤なども評価者に伝えることで、より運用への理解や共感を生み出しています。また、評価の実施後には職場でのフィードバック機会を設けて、周囲からの意見を集めた上でアクションを決定するといった取り組みを行なっています。

(出典:リンクアンドモチベーション「VUCA時代において葛藤を抱えがちな課長層を支援・育成するため、多面評価サーベイを導入」)

株式会社バンダイナムコエンターテインメント

 家庭用ゲームやライフエンターテインメント事業を行なっている株式会社バンダイナムコエンターテインメントでは、管理職の育成のために360度評価を活用しています。

 360度評価の結果をもとにして、管理職同士でアドバイスや提案をし合う機会を設けることで、行動を変える後押しを行なっています。その結果、自律的な成長の促進や、「世界企業」を目指すことへの共感の創造などを実現することができています。

(出典:リンクアンドモチベーション「同じ階層の管理職同士で多面評価サーベイの結果に向き合い、お互いに高め合える仕組みを構築」)


法人研修ならリンクアカデミー

 これまで述べてきたように、人事評価をする上で上司・部下問わず360度での評価をすることは、効果的な人材育成のために重要な施策です。勤務態度やコミュニケーションといったスキルの可視化がしづらいものもありますが、ITスキルなどであれば個々人の能力を可視化しやすく、自分の現在地を知ることができます。

 適切な診断を基に自分のスキルの現在地を把握することで、今後会社として求めるスキルがどのようなもので、自分のキャリアアップのためにどんなスキルが必要とされているのか、具体的に知ることができ、従業員の成長における目標設定にしやすいのではないでしょうか。

 リンクアカデミーでは、デジタル化が進む世の中の流れに合わせた研修を提供しております。

 ITスキルだけではなく、ロジカルシンキングを兼ね合わせた研修もあり、いかに実務で活用していくかという思想まで享受していきます。

この実績と経験を活かして、昨今では多くの企業様に法人研修の導入をいただいております。
・内定者・新入社員の育成
・生産性向上
・営業力強化
・DX推進
といった幅広い課題に対してもソリューションを提供可能ですので、是非一度お問い合わせ下さい。

  課題別研修一覧 | 法人研修・IT研修ならリンクアカデミー 貴社の人事戦略を支援する研修プログラムがリンクアカデミーにはあります。 独自の診断サービスと幅広い形態での研修実績で貴社の問題を解決・支援いたします。 法人研修・IT研修ならリンクアカデミー


リンクアカデミーの研修導入事例

・ネットワンシステムズ株式会社様

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・東京建物株式会社様

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・株式会社フロム・エージャパン様

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・株式会社トーコン様

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360度研修に関するよくある質問

Q1:360度評価の仕組みは?

A1:360度評価は、上司や同僚、部下といった様々な人から評価を集めます。勤務態度や業務スキル、コミュニケーションスキルといった項目について、それぞれが回答します。回答方法としては、項目に対して5段階で評価するものや、定性的なコメントを行うものがあります。

Q2:360度評価の評価者選定方法は

A2:360度評価の評価者を選定する際には、普段一緒に業務をしている人から選定を行います。同じチームや部署といった括りで選ぶことができますが、上司・同僚・部下のそれぞれが評価を行えるようにすることで、他面的な評価を行うことができます。

Q3:360度評価のメリットは

A3:360度評価を行うメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

■評価の客観性を担保できる
 360度評価を行うことで、「評価の客観性を担保できる」というメリットが得られます。複数の視点から従業員の成果や行動を確認・評価することができるため、より評価の客観性を高めることができます。

■社員の評価への納得度を上げることができる
 「従業員の評価への納得度を上げることができる」といったことも、360度評価を行うメリットとして挙げられます。360度評価では、上司だけではなく同僚や部下からの評価を得て、従業員は複数の観点からのフィードバックや意見を受け取ることができます。様々な意見を集約した結果の評価を受けることで、その内容に対する納得感を高めることができます。

■管理職育成に繋がる
 360度評価を行うことで、「管理職の育成に繋がる」ということも大きなメリットです。360度評価を行うことで、部下から評価を受けて自身のことを振り返る機会を設けることができます。受けた評価やフィードバックをもとにして行動を変えることで、マネジメントスキルの向上や部下からの信頼醸成を実現することができます。


まとめ

 人事評価の納得感の醸成や、効果的な人材育成の実現のために、360度評価は有効な手段です。上司や同僚、部下といった様々な立場の人から評価やコメントを集めることができるため、より多面的に働きぶりを把握することができます。貰った評価やコメントをもとにして、自分の成長に向けた課題の特定やアクションの決定を行うことで、育成を促進することができます。360度評価を導入する際には、主観的・感情的な評価が多くならないように、その目的や評価の基準について事前に共有しておくことが大切です。

稲冨 健太
稲冨 健太
佐賀県出身。名古屋大学理学研究科にて物理を専攻。「伝統工芸」や「ものづくり」を応援したいという想いで、組織コンサルティング会社に就職し理念浸透・人事制度設計・人材育成・マネジメントなどに従事。独立後、中小・ベンチャー企業へのコンサルティングや商品開発の経験を基に精力的にライティング活動を実施。

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